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民医連新聞

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にじのかけはし 第4回 性の多様性に関する言葉文 文:吉田絵理子

 私は、女性も男性も好きになることがあり、お化粧やスカートに抵抗感があります。女性らしい体つきにも違和感がありましたが、男性になりたいと思ったことはありません。自分が何者かわからなかったのですが、出生時に指定された性別、性自認、性的指向、性表現という言葉を知ったことで、自分をうまく表現できるようになりました。今回はこれらの用語についてお伝えします。
 日本では主に外性器の形をもとに男女どちらかを指定され、戸籍上の性別が登録されます。これを出生時に指定された性別と言います。
 性自認とは、ジェンダーに関する自己認識のことを指します。LGBTのTはトランスジェンダーの頭文字で、出生時に指定された性別と性自認とが一致しない人々を表す言葉です。逆に一致している場合はシスジェンダーといい、性自認が男性・女性のどちらか一方ではない人をXジェンダー(海外ではノン・バイナリー)と表現します。
 性的指向とは、恋愛や性愛の感情がどんな性別に向くかを表す言葉です。LGBTのLはレズビアン(恋愛・性愛の対象が女性である女性)、Gはゲイ(恋愛・性愛の対象が男性である男性)、Bはバイセクシュアル(女性にも男性にも恋愛・性愛の感情を抱き得る人)の頭文字です。他者に性的な関心を抱かないアセクシュアル、恋愛感情を抱かないアロマンティック、好きになるのに相手のセクシュアリティーは問わないパンセクシュアルなど、他にもさまざまな性的指向を表す言葉があります。
 最後に性表現とは、服装、話し方、振る舞いなどで、どのようにジェンダーを表現するかを表す言葉です。時折、女性的な服装を好む男性に対して、「あの人はゲイではないか?」といったうわさ話を耳にすることがありますが、性的指向と性表現とは別のものです。セクシュアリティーは外から推測できませんし、すべきでもないでしょう。
 なお、これらのセクシュアリティーに関する概念は、診断名のように他者が外からラベリングに用いるのではなく、自身のアイデンティティーを表現するためにあるということを理解し、相手のセクシュアリティーを尊重することがもっとも大切です。


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1760号 2022年5月23日)