中小病院大幅な収益減も 診療報酬改定影響調査で判明
新型コロナ感染拡大のもと、疲弊した医療現場の立て直しは喫緊の課題です。しかし、2022年度の診療報酬改定はマイナス0・94%と連続のマイナス改定。急性期病床の削減を目的に「重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直し」が行われ、地域包括ケア病棟(病床)、回復期リハ病棟の要件も厳しくなりました。病棟入院料への影響について、緊急に民医連加盟病院の状況調査を行った結果を、影響の大きかった急性期一般入院料を中心に報告します。
本調査は加盟の全142病院を対象に行い、94病院からの回答を得ました(回収率約66%)。調査では看護必要度のシミュレーション値、変更・新設基準への対応状況などを集計しました。
急性期病棟への影響について、現状で維持可能な病院は回答のあった64病院中27病院で、残りは何らかの対応が必要です(図)。施設基準の維持が難しくなった要因は、重症度、医療・看護必要度を満たせないという回答が多数でした。看護必要度Iでは、最大19%減という回答も。急性期病床、特に内科系の疾患に多く対応する中小病院への影響が大きくなっています。地域包括ケア病棟や、回復期リハ病棟の施設基準の変更を検討している病院は、調査時点ではありませんが、対策を検討している病院は多く、厳しい状況は変わりません。
今回の診療報酬改定は、コロナ禍で地域医療を守るために踏ん張ってきた医療機関が、収益減にならざるを得ない内容です。「コロナ対応を真(しん)摯(し)に行ってきた医療機関に対してすることではない」「高齢者、内科疾患を多く抱えるケアミックス病院に対して、構造転換を迫るような内容。病院を維持できるか危機感を覚える」といった訴えがありました。また看護処遇改善の財源を診療報酬に求めることへの怒り、リフィル処方せん、オンライン診療への対応などにも意見が寄せられました。
全日本民医連として、他の医療団体などとも力を合わせて、今年度中の診療報酬の「再改定」を求めるたたかいと、24年度診療報酬・介護報酬の同時改定に向けての対応をすすめます。(全日本民医連経営部 武内美和子)
※調査結果の詳細は全日本民医連ホームページに掲載。
(民医連新聞 第1759号 2022年5月2日)
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