水俣病被害者互助会訴訟 最高裁判所の判断について
3月20日、全日本民医連のメチル水銀中毒研究会(代表:門祐輔医師/京都協立病院)らは、水俣病被害者互助会訴訟の最高裁判断について声明を出しました(概要紹介)。
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3月8日、最高裁判所は、水俣病被害者互助会の未認定患者8人が国・熊本県、チッソに損害賠償を求めていた訴訟で、患者側の福岡高等裁判所からの上告を退ける決定をしました。
水俣病の原因のメチル水銀は、1932年から36年間にわたって海に流され続け、その後も不知火(しらぬい)海の汚染が続いたにもかかわらず、行政のまともな健康調査はなされませんでした。
専門家の実態調査も医学的解明も行われないまま、実態にそぐわない水俣病の診断基準「昭和52年判断条件」を国が定めたために、多くの水俣病患者らが見すてられることになりました。
福岡高裁が敗訴に導いた原告8人は、本来水俣病と認められるべきであるにもかかわらず、認められなかった人びとです。
福岡高裁の判断は、水俣病の医学の歴史に対する一片の反省もなく、間違った「昭和52年判断条件」を合理化するために、医学的に誤った根拠づけがなされました。最高裁が、一部の医学者や行政の誤りを訂正できなかったことは、今後も、医学と公衆衛生学を無視した行政施策が続くことを是認することにつながります。
将来にわたり国民の健康に多大な障害をもたらし得ることを国民の皆様にお知らせし、今後、行政および司法の場で、正しい施策および判断がなされることを希望するものです。
(民医連新聞 第1758号 2022年4月18日)
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