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民医連新聞

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副作用モニター情報〈571〉 アムロジピンによる胃酸逆流

 アムロジピンは、1日1回の服薬で安定的な降圧効果が得られる降圧薬として、広く使用されています。特に患者の腎機能による薬効変化が小さいことから、高齢者に使いやすいとされています。一方で副作用に関しては多様な報告があがってきています。
 今回、アムロジピンにより胃酸逆流が発生した症例が報告されましたので、紹介します。

症例)60代男性、基礎疾患に糖尿病、脂質異常症あり。血圧高値のためアムロジピン錠2.5㎎/日投与開始。服薬1カ月後、夜中に胃酸が上がってくるためアムロジピンを自己中断。中止翌日から胃酸逆流症状の改善が見られた。

* * *

 カルシウム拮抗(きっこう)薬の作用機序は、血管平滑筋弛緩(しかん)作用による血管拡張効果によるものですが、血管以外の平滑筋にも作用することが知られています。特に食道平滑筋に作用した場合、食道下部括約筋の弛緩により、逆流性食道炎(GERD)を引き起こすことがあります。もともとGERDを有する患者では出現頻度が高いことが知られており、投与前に患者の既往歴を確認することが、副作用予防の観点から重要です。
 また、平滑筋弛緩作用による副作用は、夜間頻尿や浮腫などさまざまな副作用の原因になっていると考えられています。平滑筋弛緩作用は、主作用である降圧効果の延長にあるものですから、副作用を完全に回避することは困難です。
 さらに気をつけたいのが、こうしたアムロジピンによる副作用が、「処方カスケード」につながってしまうことがある点です。
 「処方カスケード」とは、薬剤による副作用を患者の病状変化、あるいは新規疾患の出現と捉えてしまい、薬剤の追加・増量を行ってしまうことを指します。
 アムロジピンは使用頻度の高い薬剤でありながら、副作用が多岐にわたるため、一見して「処方カスケード」の存在が見過ごされがちです。患者の訴えが副作用によるものではないか? という視点を常に持つことが重要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1758号 2022年4月18日)

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