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民医連新聞

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相談室日誌 連載515 ヤングケアラーから考える 18歳成人をささえる支援は(大分)

 Aさんは18歳の学生。40代の母親と祖母と3人世帯です。祖母は長期の療養入院中でADL全介助状態です。そんななか母親も入退院をくり返して、ADL全介助状態で長期入院になっていました。Aさんは、学業を行いながら、自身の食費など生活費はアルバイトでまかなっていました。祖母と母親はそれぞれ別の病院に入院し、療養上の世話、日常生活の支援は、母親の助言を得ながらすべてAさん一人がになっていました。そして、祖母も母親の状態も「厳しい状態だ」と感じる説明を、一人で受けることもあったと思われます。
 母親はAさんの成長が生きがいであり、「息子を自宅でささえたい」「帰りたい」という気持ちが、療養意欲につながっていました。すべてを黙って受け止めているように見えるAさんに、「相談できる人はいますか」と訪ねたことがありました。「長く会っていませんが、遠方にいる母親のきょうだいのみです」と。
 そして「こんな状況を同級生には言えるわけないじゃないですか」と静かに語りました。同級生に話すことで同情されること、距離ができて友人との関係性が変わることを恐れたのだと思います。
 母親とAさんが、誰か支援者とつながる場所はないのかと公的機関に問い合わせをしましたが、具体的な支援につなげることはできませんでした。
 現在、ヤングケアラーが注目されています。ケアラーとは、介護をするすべての人です。全世代をやわらかく、ふわりとささえ、寄り添う支援はどこにあるのでしょうか。40代が利用できるサービスは限定されています。18歳を超えると、児童福祉法上の支援は途切れてしまいます。
 加えて、この4月1日より、民法の改正で18歳から成人になります。これは「一人で契約することができる」大きな変化です。契約を結ぶかどうかを決めるのも自分なら、その責任を負うのも自分自身になります。
 しかし、18歳になったからといって家族の介護をすべて責任を持つというのはあまりにも重い。全世代にとって寄り添うようなやわらかい支援が充実することを願っています。

(民医連新聞 第1757号 2022年4月4日)