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民医連新聞

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新連載 憲法カフェ ぷち 立憲主義とウクライナ侵攻

ウクライナ侵攻はなぜいけないか

 3月22日現在、ロシアがウクライナに対して行った軍事侵攻の報道であふれています。アメリカやEUをはじめとした世界各国から非難の声があげられ、さまざまな制裁が行われています。なぜ、各国がロシアのウクライナ侵攻を非難することができるのでしょうか。
 国連総会が3月2日に可決したロシア非難決議は、ロシアの行動が国連憲章2条4項に違反するとした上で、ロシアに対して軍事行動の即時停止を求めています。国連憲章2条4項は、加盟国に、国際関係における武力による威嚇又は武力の行使を禁じている条文です。すべての国連加盟国は、国連憲章にしばられていて、国連憲章に違反するとこのように国際的な非難を浴びることになるわけです。
 かつて、国際的に侵略行為は違法とされていませんでした。二度の世界大戦を経て、自衛権行使を除く戦争を違法としようという国際的な潮流の中でなされた合意が、国連憲章だったのです。

憲法とは権力をしばるもの

 国連憲章は、国連の憲法とも言われています。憲法とはそもそも何でしょうか。国民の三大義務を小学校のときに暗記して、国民が守らなければならないルールを定めたものが憲法、というイメージが強いかもしれません。
 しかし、憲法の本質は、「権力者をしばる」ことにあります。内閣総理大臣をはじめとする権力者は、しばりがなければ、簡単に市民の生命や自由を奪うことができます。それをさせないために、権力者が市民にむかってふりおろそうとするこぶしを鎖でつないで止める、その鎖の役割をしているのが憲法です。

ウクライナ侵攻から憲法を考える

 日本国憲法9条は、戦争を放棄し、戦争するための戦力を持たないことを明言しています。80年前、日本がアジアで侵略戦争を行い、多くの犠牲者を出したことに対する反省から、日本国憲法は戦力を持たないことを定めました。ウクライナ侵攻のような侵略戦争を行ってはならない、戦力も持ってはならないという9条の意味がふたたび明らかになりました。
 では「しばり」を公然と破ってしまう権力者に対してはどうすればいいのでしょうか。ロシア国内では、プーチン政権を批判する市民に対する言論弾圧が行われていると報道されています。単に「権力者が戦争をしてはいけない」だけではなく、日々の市民の自由を守り、主権者が主権者として行動する力もまた試されています。

憲法を語ろう

 私たち「明日の自由を守る若手弁護士の会」(略して「あすわか」)は、「改憲・護憲よりまず“知憲”」をモットーに、広く市民のみなさんに憲法についてお伝えしてきた団体です。「あすわか」の中心的な活動が、コーヒーやお菓子を楽しみながら、憲法についてゆるくお話しする「憲法カフェ」でした。昨今のコロナ禍で、なかなかリアルで憲法カフェを行うことが難しくなっていますが、今回、紙上で憲法カフェを行う機会を得ました。本紙では2013~2017年に「憲法なう。」を連載していましたが、これにひきつづいての企画となります。さまざまな会員から、憲法の話をしていきます。
 それでは「憲法カフェ ぷち」はじまります。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1757号 2022年4月4日)