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民医連新聞

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新連載 にじのかけはし 第1回 実は身近な 「性の多様性」 文:吉田絵理子

 みなさん、初めまして。神奈川県にある川崎協同病院の総合診療科で、医師(16年目)として働いている吉田絵理子と申します。2022年度、「性の多様性」についての連載を1年にわたって担当します。
 最近はLGBT(性的少数者)という言葉を耳にすることも多くなりました。みなさんはLGBTと聞くと身近に感じますか、それとも遠い話でしょうか? 読者のなかには、「LGBTの人には会ったことがない」と思う人もいるかもしれません。しかし、これまで日本で行われた複数の調査では、LGBTに該当する回答者は約3~9%だったと報告されています。この数字から考えると、40人のクラスに1~3人くらいはLGBTに該当する人がいるかもしれない、ということになります。これは民医連を利用する患者さんや利用者さん、また職員に関しても当てはまります。日本ではカミングアウト(自身のセクシュアリティーを他者に伝えること)が一般的ではなく、身近にLGBTの人と接していても気づきにくいのです。
 実際、私には女性のパートナーがいますが、2018年まで職場では一切話したことがありませんでした。職場でカミングアウトをした時には、驚いた同僚は少なくありませんでした。医療機関を受診した時に困ったこともあります。婦人科を受診した際に、問診票に性交渉について書く必要がありましたが、「女性との性交渉について書くと変に思われるんじゃないか」と気になり、正直に書けませんでした。また入院した際に、キーパーソンとして長年いっしょに住んでいた同性のパートナーの名前を書くのにも、勇気が必要でした。入院した病院で医学部の同級生にばったり会ってしまい、「カルテを見られて自分が同性愛者であることがばれて、みんなに伝わったらどうしよう」と、入院中ずっとおびえたというおまけもついてきました。
 無差別・平等の医療と福祉を目標に掲げる民医連の事業所では、かつて味わったそんな怖い思いをすることなく、どんなセクシュアリティーの人にも安心して利用してもらいたいし、働く人にとっても安全な場であってほしいと思い、この連載を担当させてもらいます。みなさんといっしょに紙面をつくっていきたいので、知りたいことや疑問に感じていることなど、どんどん編集部に寄せてください。


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1757号 2022年4月4日)