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民医連新聞

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第45回定期総会 特別決議 9条改憲阻止、憲法を守り生かし、人権と公正の視点でいのち最優先の社会への転換をめざそう

 この2年間、わたしたちは多くの医療・介護従事者などケア労働者とともに、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かい、人びとのいのちを守り暮らしを支えてきました。繰り返す感染拡大の大波の中、地域で発熱外来やワクチン接種にとりくみ、自宅療養の名のもとに必要な医療が受けられないまま放置された患者のもとへ行き、施設でも在宅でも入所者、利用者とその家族の生活に寄り添い、共同組織に支えられ励まされながら、すべての人の受療権、介護を受ける権利を守るために踏ん張ってきました。

 新型コロナウイルス感染症の猛威は、深刻な格差と貧困を広げた新自由主義政策の限界を浮き彫りにしました。先進諸国がこれまで推し進めてきた医療費や医療従事者の削減政策は、コロナ禍で深刻な医療崩壊を引き起こしました。その反省に立ち、今、世界でも日本でも、人びとの権利や社会保障が最優先される公正な社会への抜本的な転換をめざす声がひろがっています。

 しかし安倍・菅政治を引き継いだ岸田政権は、コロナ禍でも無策のまま打つべき手も打たず、多くの人びとのいのちを危機にさらし奪いました。コロナ禍で露呈した社会保障、医療や公衆衛生のぜい弱さを省みることなく、社会保障費は自然増すら抑制し、全世代型社会保障改革のいっそうの推進、75歳以上医療費窓口負担2割化や地域医療構想による急性期病床削減などを目論んでいます。

 また、日米安保条約のもとで米軍とともに戦争するために、北朝鮮や中国の脅威を煽り、9条改憲、軍事大国化で戦争する国づくりの道を突き進んでいます。2022年度予算の軍事費は総額6兆円を超えました。
 2021年の総選挙後、自民党・公明党に日本維新の会、国民民主党も加わり、改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を超えました。自民党の改憲の最大のねらいは、憲法9条に自衛隊を明記し、文字通り自衛隊を「戦争する軍隊」に変えることです。岸田政権はそうしたねらいを覆い隠し、コロナ禍の危機を理由に、緊急事態条項創設やオンライン国会審議を可能にすることなどを入り口に改憲をしようとしています。
 平和憲法をもつ日本が果たすべき役割は、憲法9条を生かした平和外交を貫くことです。紛争は武力ではなく、国連憲章と国際法に基づいた外交によって解決を図るべきです。

 なによりも今、「9条改憲許すな」の世論を大きくすることが決定的に重要です。民医連綱領は、国民主権と平和的生存権を謳い、基本的人権を普遍的権利とする日本国憲法の理念を掲げて、その歩みを発展させることをめざしています。この日本国憲法がかつてない危機にある現在、まさに民医連の存在意義が問われており、その役割を発揮すべきときです。

 45期、人権と公正の視点で、共同組織、地域住民、医療や介護をはじめ幅広いさまざまな団体、個人とともに、憲法を生かして地域の医療・介護をいのち最優先に転換し、無差別・平等の医療・介護を実現しましょう。
 7月の参議院選挙では、市民と野党が力を合わせ、新自由主義政策の転換への大きな一歩を踏み出しましょう。全力を挙げて必ず9条改憲を阻止し、平和憲法を守り抜き、個人の尊厳といのちが最優先される社会へ、要求実現をめざして奮闘しましょう。

2022年2月26日
全日本民主医療機関連合会 第45回定期総会

(民医連新聞 第1755号 2022年3月7日)