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民医連新聞

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診察室から リハビリテーション科医師のお仕事とは

 27年目の医師ですが、リハビリテーション科は17年目です。回復期リハ病棟の専従医です。以前は往診専門診療所の所長でした。
 リハ医の仕事ってあまり知られていないですよね。「リハ医になってくれ」と管理部に拝み倒された時は、「リハ医ってなにするの?」と思ったものでした。日本リハビリテーション医学会の専門医も取得して、この頃は患者の回復を促進している実感が持てるようになりました。
 脳卒中の患者が転院してくるときの様子はこんな感じです。まず、画像と情報提供書を見比べます。「左被殻(ひかく)の出血ということだけど、内包を破って脳室穿破したら、錐体路症状が出て麻痺が結構重くなるんだけど、今回は内包を外から圧迫しているだけだから右麻痺は軽いんですね。被殻だから、錐体外路症状で筋緊張が高くなるかも。自動車運転は、深部覚障害と筋緊張の回復の様子によっては左足ブレーキ、右足アクセルに変更した方がいいかもね。仕事は…」など、隣にいる福村直毅医長やセラピストたちと話しながら予後予測を行います。
 病室で、患者・ご家族と話しながら診察、動きの確認、嚥下(えんげ)内視鏡検査などをこなします。セラピスト、看護師、栄養士、SWが同席します。良くなっていくことを話し、患者・ご家族に安心してもらうことが大事です。また、残存すると思われる症状と代償手段の説明をしながら、自動車運転や復職、趣味活動、外出、家事など、望む生活への道筋を話します。
 スタッフルームに戻り、まとめのカンファレンスを行います。リハ医は人間をまるごと全部診る覚悟がいります。良好なコンディションでリハが受けられるように、基礎疾患の管理、摂食、栄養、排泄、精神状態、痛みや苦痛への対応、リハの手法・装具の検討、在宅環境、運転、仕事の確認など、ありとあらゆることを入院時に情報収集し、指示を出します。これができるのは医師だよな、と実感する瞬間です。この技を日々磨き中です。(山本ひとみ、長野・健和会病院)

(民医連新聞 第1754号 2022年2月21日)