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民医連新聞

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民医連奨学生に聞く! 調剤以外でも患者をサポートできる幅広い活動を 千葉民医連 岩田美月(6年生)

 なぜ民医連の奨学生になったのか。全国の薬学生に聞く第4回は千葉で学ぶ岩田美月さんです。(長野典右記者)

 父親が柔道整復師として自院を開業し、子どものころ予約さえ入れば夜遅くまで治療を行っていました。患者と接することで、医療を身近なものに感じていた岩田さん。「治療には薬が必要で、その存在は大きい。薬は重要なものだと思った」と話します。高校生の時、将来の仕事として、「人の役にたてる仕事をしたい」と医療職の薬剤師をめざし、親類に千葉民医連の看護奨学生がいたことが縁で、薬学奨学生になりました。

■井戸水の水質検査

 千葉民医連の医系奨学生は、病院の納涼大会や健康まつりにボランティアとして参加しています。
 病院の周りは生活に井戸水を使っている人もいることから、健康まつりでは、地域の人がペットボトルで持ち込んだ井戸水の水質検査を、薬局企画として行い、薬学奨学生が手伝います。この検査キットは、夏の納涼大会での輪投げの出店の収入などを活用して購入し、無料で行っています。岩田さんは「健康まつりなどを通じた、地域の人との交流が民医連の魅力のひとつ。社会活動に力を入れているのが民医連」と語ります。

■福島フィールドワーク

 関東、北関東・甲信越地協薬学生セミナーで、岩田さんは群馬の国立療養所栗生楽泉(くりうらくせん)園を訪問しました。元ハンセン病患者の話を聞き、社会からの隔離と差別の実態を初めて知りました。「授業でハンセン病は、らい菌が原因であることは聞いていましたが、入所者の人たちがこんなにひどい扱いをされていたとは知らなかった。そもそも完治する病気で、すでに有効な治療薬があったのに、法律で隔離すること自体おかしい」と語ります。「医療従事者が正確な情報を発信すべきだった」と岩田さんは感じました。
 また東京電力福島第一原発事故後の福島フィールドワークにも参加。積み上げられたフレコンバッグや帰還困難区域を見て、「原発事故の深刻さと、復興はまだ途上にある。このような事故を起こしてはならない」と言います。
 地協の薬学生セミナーは、地協薬剤委員会でテーマを決め、企画しています。昨年の夏はコロナ禍で、リモート開催になりました。テーマは「コロナ禍での薬剤師活動」とし、神奈川民医連のまとめた医療従事者への偏見の調査を学び討論。数年前には神奈川の貧困地域のフィールドワーク企画もありました。現在6年生の岩田さんは、卒業試験と重なり参加できませんでしたが、千葉の奨学生会議で資料を共有し学びました。
 民医連でなければ学べない機会を得ることで、視野は確実にひろがっています。奨学生活動は、薬学生以外の医系学生ともつながり、他学部の学生と学び合う、学生のころから他の職種をめざす人とのかかわりができることがいい経験になっています。「とても楽しい時間で、大学にはない環境。他学部生の先輩・後輩との交流もあり、民医連に入職したら働きやすい関係もできる」と感想を語ります。
 1年生からインターンシップに参加していることで、「そんなに早くから医療現場を見学しているの」と友人も驚いています。「薬剤師の忙しい現場には驚いた」と印象を語りました。

■専門性以外での連携

 現在、終電まで大学に残り、片道約2時間の通学時間も勉強の時間にあてるなど、目標に向かってまっしぐらです。
 将来は在宅医療、住み慣れた地域で服薬フォローなど、来局時以外でも患者にかかわることや、経済的に困っていること、普段の生活にも親身にかかわり、栄養面からもサポートできるスキルを持った、幅広い活動のできる薬剤師になりたいと語ります。多職種や共同組織につながることで、薬剤師としてだけではなく、民医連職員としての成長も期待されます。
 民医連の薬剤師活動には、副作用モニター制度、新薬モニター制度があります。また薬剤師として認定・専門資格をめざすこともできます。
 「もう、一生勉強する覚悟です」と笑顔で語りました。

(民医連新聞 第1753号 2022年2月7日)