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民医連新聞

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未来につなぐ、あらたな1ページ 第39回民医連全国青年ジャンボリー オンライン

 昨年11月26~27日、第39回民医連全国青年ジャンボリー(全国JB)オンラインを開催しました。コロナ禍で開催そのものが危ぶまれた全国JBでしたが、初のオンライン開催を模索。実行委員会などもすべてオンラインですすめ、当日はZoomを利用して45県連から885人の全国の青年職員や助言者が参加し、交流と学習を深めました。(稲原真一記者)

期待と不安の開会

 初めてのオンライン開催に、参加者や実行委員にも期待と不安が入り交じるなか、第39回の全国JBは幕を開けました。
 開会の9時になると同時にカウントダウンが始まり、テーマソング「Mela」(緑黄色社会)とともに軽快なオープニングムービーが流れました。開催までの歩みや、これまでの全国JBの紹介が終わると、人気キャラクターやニュースキャスターに扮した実行委員が登場。バーチャル背景などを活用したオンラインならではのニュース番組風の開会式が始まりました。イメージキャラクターのつむぎちゃんが動きながら会話したり、全国と中継をつないだりなど、完成度の高い内容で参加者の不安や緊張をほぐしました。
 実行委員長の山内竜馬さん(京都・JBネーム‥ウォーリー)があいさつし、獲得目標()を紹介。「オンラインでも、たくさんの参加者が集まってくれたことがうれしい。かたくならず楽しんでほしい」と呼びかけました。全日本民医連からは会長の増田剛さんがあいさつ。「これからの民医連をつくっていくのはみなさん。全国JBが一人ひとりの未来像の探求につながり、それを民医連運動の未来にも重ね合わせてもらえたら」と期待を寄せました。韓国の緑色病院はコロナ禍で参加を見送りましたが、動画で連帯のメッセージを届けました。
 続く大交流会は班別に分かれ、「記憶連想ゲーム」や「お絵かきしりとり」など、オンラインでも楽しめる工夫のされた企画で盛り上がり、参加者からも笑顔がこぼれる交流会に。全体では3枚の写真から何県か当てる「写真でクイズ! オンライン旅行!」や世の中の数字を当てる「パーセントバルーン」が行われました。

人権を身近に引き寄せ

 午後はフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが「紛争地、被災地の声から考える平和の姿 多様性と向き合って」と題した記念講演を行いました。紛争がつづく中東シリアの現状や、昨年3月に亡くなったウィシュマ・サンダマリさんへの出入国管理局の非人道的対応、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市などを、リアルな写真とともに紹介。平和や人権とは何かを問いかけました。ウィシュマさんの事件をきっかけに、入管法の改定案が国民の声で廃案になったことにも触れ、「声を上げることは無駄ではないと示された」といいます。
 参加者の「日本の排他性はどこからくるのか」「なぜ非人道的な入管法があるのか」という質問には、「戦前から“日本人”以外は、すべて監視や管理の対象とする制度理念が残っている。マイノリティーの問題は政治の主題にならず、マジョリティーが問題にしなくてはならない」と答えました。最後に参加者へ「医療・介護にかかわる人の安全・安心が、社会の安全・安心につながる。これからも現場の声を届けてほしい」とメッセージを送りました。
 班別のSGD(スモールグループディスカッション)では、「日本は平和で人道的な国だと思っていたので衝撃だった」「声を上げることや、問題に気づくための学習の大切さを感じた」などの意見や、「職場でジェンダーギャップを感じる」「認知症患者の人権をどう守るべきか悩んでいる」など、身近な話題と人権を結びつけた議論が行われました。
 記念講演の後はお待ちかねの夜の班交流。お酒や食べ物も準備して、それぞれの地域の特徴や仕事の話、恋バナなどなど…。思い思いの話題で盛り上がり、夜遅くまで大いに交流しました。

人権、医療、地域をつなぐ

 2日目は朝からテーマ別セッションを行いました。フィールドワークに代わり、さまざまなテーマから人権を考える7つのセッション()が準備されました。異なる切り口から人権に触れる学習講演で、1日目の記念講演と合わせて学びを深めました。SGDでは「当事者の声を聞くことの大切さがわかった」「人権は身近なものなのだと気づいた」「学んだことを職場で共有したい」など、積極的な発言がありました。
 学習のあとは交流企画として「地協アピール動画大会」が行われ、各地から寄せられた県の魅力やJB活動の紹介動画を上映。素人とは思えない動画の数々で、参加者からも「コロナ禍が落ち着いたら行ってみたい県がたくさんあった」と声がありました。

引き継がれるJB

 2日間を締めくくる閉会式では、全日本民医連事務局次長の西村峰子さんがあいさつ。「青年こそがこれからの民医連をつくる原動力だと感じた。すべての世代が尊重しあい、学ぶことが発展につながる。若いみなさんの活動をこれからも応援していきたい」と激励しました。事務局長の北村翼さん(北海道・JBネーム‥DAIGO)は「これからの仕事のなかで、人権問題や社会の矛盾に直面することがかならずある。一人では解決できない問題も、仲間との連帯で乗り越え救えるいのちがある。職場でも今回の経験を共有し、行動を起こしてほしい。そしていつの日か、同じ場所で会える日を楽しみにしています」と結びました。最後は2日間をふり返るエンディングムービーが流れ、惜しまれつつも全国JBは幕を閉じました。

出会い、育ち、みんなでつくった全国JB

第39回民医連全国青年JB実行委員長 京都・山内竜馬さん(看護師8年目 JBネーム:ウォーリー)

 私は実行委員長を引き受けるにあたり、子どもの出産を控えていたこともあって、葛藤がありました。しかし、いまは「断らなくて本当に良かった」と思っています。
 今回の全国JBは実行委員や事務局が一度も直接会うことなく準備をすすめてきましたが、これほど仲が良く、お互いに信頼できる仲間になれるとは思っていませんでした。本番は小さなトラブルが起こるたび、一人ひとりが責任感を持って自分で考え、全力で行動している姿に、JBを通してみんなが成長しているのだと実感しました。
 全国からの参加者、そして送り出してくれたみなさん、本当にありがとうございました。正直に言えば、オンラインで現地開催を超えるJBは無理だと思っていました。ですが、当日の参加者の真剣な表情やあふれる笑顔を見て、やって良かったと確信しました。すべての参加者が自主性を持って学び、楽しもうと思わなければ、今回の成功はありませんでした。885人全員でつくり上げたJBです。
 コロナ禍で孤独感や精神的つらさを抱えた人もいたはず。同じ思いをもって働いている仲間が全国にいると感じられたことが、民医連全体の今後にとって大きな意味があります。
 困難な状況でもJBの灯をともし続け、あらたな1ページを開いた全国JBになりました。これからJBにかかわるみなさんには、「オンラインでこれだけできた、どんな形でもできる」と伝えたい。そしてこれからも歴史あるJBを続けていってほしいです。

(民医連新聞 第1751号 2022年1月3日)