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民医連新聞

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副作用モニター情報〈566〉 末梢性神経障害性疼痛(とうつう)治療剤 ミロガバリン(タリージェ®)

 ミロガバリンは2019年4月に発売された「末梢神経障害性疼痛」を適応症にもつ薬剤です。
 神経障害性疼痛治療剤プレガバリン(リリカ)や抗てんかん剤ガバペンチン(ガバペン)に類似した化学構造を持ち、興奮性神経伝達物質の放出を抑制することで鎮痛効果を発揮します。
 発売から約2年が経過し、当モニターにも副作用報告が集積されるようになりました。
 当モニターには2021年9月時点で13例21件(浮腫3件、視覚異常2件、眠気2件、転倒2件、意識混濁、めまい、幻聴、手指振戦、胃部不快感、肝障害、筋肉痛、嘔吐(おうと)、関節痛、腰痛、食欲亢進(こうしん)、体重増加各1件)の副作用報告がよせられています。このうち、6例が80歳超の患者でした。
 今回、腎機能障害患者に対して、常用量が投与された結果、副作用が発症したと思われる症例を紹介します。

症例)80代女性
開始日:ミロガバリン1回5mg1日2回開始。
1日後:起床時呂律困難、意識混濁、歩行ふらつきあり病院受診。
6日後:症状改善みとめず再受診、諸々検査で疾患によるものは否定されるも精査入院。
7日後(中止日):薬剤師がミロガバリンの過量と薬剤による副作用の可能性を指摘、ミロガバリン中止となる。(CCr12.5ml/min)
中止1日後:呂律困難感、ふらつき改善。
中止6日後:家族面会、普段と変わらない様子になっている、と。
中止8日後:軽快退院。

* * *

 ミロガバリンは腎排泄型薬剤のため、腎機能に応じて用量調整する必要があります。本症例では、1回2.5mg1日1回から開始が推奨されているところ、常用量(1回5mg1日2回)から開始されていました。その結果、4倍量の薬剤が投与され副作用が発現した可能性が考えられます。
 ミロガバリンの投与に際しては、腎機能を考慮することはもちろんのこと、類似薬のプレガバリンで発現率の高いとされる副作用(めまい、傾眠、浮腫など)が同様に起こる可能性を念頭におきましょう。
 また、発症時期については、初回投与直後および増量時に副作用発現率が高くなることが指摘されています。特に高齢者では少量から開始するなどの対応が必要でしょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1750号 2021年12月6日・20日)

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