診察室から 「ティール組織」へ醸成
当院でも2021年はコロナで振り回された1年でした。今(11月上旬)はコロナもだいぶ収束して一息といったところですが、まだ予断を許しません。そして当院にとってコロナとともに大変だったのが、築39年の病院がリニューアルできるかどうかの瀬戸際にあったということです。
東日本大震災以降、赤字が多かった当院は、94床の病院が診療所に変わるかもしれないという危機だったのです。職員一丸となって努力したかいもあり、最近数年は黒字を出せるようになり、8月の理事会でリニューアルの方向で承認が得られました。こちらも一息ですが、リニューアル後のことを考えるとこれからが正念場です。
これからはさらに医療や地域活動だけでなく、経営的にも安定して前進を続けていく組織づくりが必要と考えており、その時に出会ったのが、「ティール組織」です。
ビュートゾルフ(オランダの地域看護師の組織)に代表されるこの組織形態は現在、世界中のさまざまな業種で注目されており、その基本コンセプトは自主経営、全体性、存在目的と言われています。地域や現場の実情に合わせた対応を組織として行っていく姿勢は、民医連組織と親和性が高いと感じています。
一方で運用運営していくためには組織のリーダーだけでなく、スタッフ一人ひとりが自ら周りの状況を察知し、考え、行動に移すことが要求されるため、個々としても組織としても力量を積み上げていく必要があります。これは発達段階として説明され、衝動型(レッド)、順応型(アンバー)、達成型(オレンジ)、多元型(グリーン)、進化型(ティール)に分類されています。
今後、当院が地域で必要とされる医療福祉機関であり続けていくためには、当院をティール組織まで発達させる必要があります。そのために、(1)自主経営可能な組織構造とプロセス、(2)全体性を取り戻すための努力、(3)存在目的に耳を傾ける、の3つを基本に組織を醸成させていきたいと思います。(長谷部誠、宮城・泉病院)
(民医連新聞 第1750号 2021年12月6日・20日)
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