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民医連新聞

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診察室から 人生いろいろ、民医連の仲間とともに

 私は12年目の医師で総合診療科に所属しています。干支(えと)が1周するキリのいい年数で、不惑の年齢に近づいたので、ふり返りを、ふとした瞬間にしています。思い返せば至らないことばかりですが、総合診療医の道にすすんだことには確かな手応えがあります。
 最近考えるのは健康とは何か、幸福とは何かです。例えば、糖尿病の治療管理目標を決める際に、HbA1cを6%台にすることが目の前の患者の幸せにつながるのだろうかと考えています。健康観や価値観は人それぞれで、個々の人生経験に裏打ちされるものですから、患者とのコミュニケーションの中で探っていく必要があるのでしょう。「人生いろいろ」です。
 ところで、2年ほど前から筋トレをしています。本格的にジムでするような類ではなく、自宅で簡単にできるものです。スクワットを続けて階段の登り降りが楽になりました。効果を実感しているので、私の外来に来てくれる患者にも勧めるのですが、今のところスクワットを始めた人はいないようです。私が筋トレをするのは将来のフレイル予防ですが、日々成長していく3人の子どもたちを抱き上げられるような身体を維持するのも目的です。喜ぶ子どもたちの笑顔をみることが、自分自身の健康や幸せにつながるからです。
 また、ありがたいことに職場での人間関係に問題を感じていない私は、恵まれた環境にいるのだと思います。周囲の人たちとのつながりが、私自身の健康や幸せの構成要素のようです。
 一方で、家族と疎遠で社会的に孤立した患者とかかわることもしばしばあります。SDHの視点で健康問題にとりくむ姿勢は、民医連の病院に所属していることで私の中に染み込んできたものです。チームでささえることが重要だと思っています。社会的孤立の中にいる人たちをささえるために働く民医連の仲間の存在が、とても心強いです。人生いろいろ、咲き乱れることはなくても、今の職場でひっそりたたずむような存在でありたいです。(佐藤航、岡山協立病院)

(民医連新聞 第1747号 2021年10月18日)

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