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民医連新聞

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民医連奨学生に聞く! 理想求める奨学生活動 患者、多職種から信頼される薬剤師 石川民医連 大海仁嗣さん(5年生)

 なぜ民医連の奨学生になったのか―。全国の薬学生に聞く2回目は、石川で学ぶ大海仁嗣(おおうみまさし)さんです。(長野典右記者)

 大海さんの母親は民医連で介護福祉士として働いており、小さい頃から健康まつりに参加するなど、民医連を身近に感じていました。患者と接し、人の役に立つ仕事をしたいと思い、薬剤師をめざすことに。「大学に入学してから、患者のためにもっと医療ができることはないのか考えるようになった」と大海さん。薬剤師は患者を守る最後の砦(とりで)、薬剤師の大切さ、民医連医療の大切さも感じています。

■学習会とFW

 東海北陸地協はメディスク(Medical Scrambled Eggs)という医療系学生の活動があります。北陸3県の大学、学校に通う医療系学生が、医療の課題、社会の課題など継続的に勉強会を開催しています。
 この夏に開催したオンライン企画では、「東京オリンピック・パラリンピック開催をみんなどう思う?」をテーマとして、考えていることを自由に討議。「オリンピックをするために、私たちの生活が制限されるのはどうなの?」「医療がひっ迫するなかでの開催はおかしいのではないか」など、さまざまな視点から問題意識を持っている参加者が多かったといいます。ある学生からは、「アルバイト時のピアス禁止についてどう思う?」「女性のメイクはマナーか?」などのジェンダー、個人の尊厳に対する問題意識も出され、議論がひろがりました。
 コロナ禍前までは毎年行っていた石川民医連の奥能登フィールドワークにも2回参加しました。高齢者の単身世帯のなかには、1時間近くバスに乗って病院に通っている人もいることを知りました。月に1回、息子が帰って来るときに受診しているという話も聞き、医療にアクセスできる大切さを感じました。「現地の人たちのパワフルさに元気をもらいながらも、私たちに何ができるのか、みんなで考えていく必要性を感じました」。
 まもなく、実務実習も始まります。「地域の患者に出会い、医療に困っている人がいたら現状を聞き、背景にある社会の問題について考えたい」と語ります。

■気軽に相談できる関係

 新型コロナウイルス感染症対策で、ワクチン接種がはじまりました。しかし、ワクチンに不安を感じている人も多く、接種に悩んでいる友人が身近にいるといいます。ワクチンの接種の前提には、ワクチンが安全で有効なものである必要があります。さまざまな情報があふれているなかで、正しい情報か判断し、十分納得した上で、接種を受けるべきだといいます。「政府やメディアには、正しい情報を発信する責任があると感じています。薬剤師には薬の専門家として、正しい情報を説明することが求められています。地域の人びとの不安な思いを解消できるよう、気軽に相談ができ、何が問題なのかをみんなで考えていくことができる薬剤師になりたい」と語ります。
 また医療の現場では、患者により良い医療を提供するためにはどうしたらよいか、なんでも語りあえ、情報を共有しあえるコミュニケーション能力や、多職種でのチーム医療の大切さを感じています。自分が身につけたスキルは患者に還元していく、幅広い知識を持った、患者からも医療従事者からも信頼される薬剤師をめざしています。

■学んだこと大きい

 「メディスク」や、奨学生活動における、フィールドワークやコミュニケーションで学んだことは大きいといいます。また、現場で理想の医療をめざして学んでいる職員から学べることも大きく、「大学だけで勉強していたら、自分の理想の医療像がブレていたかもしれない。メディスクや奨学生活動は、軸がぶれないように再確認できる活動」とふり返ります。
 奨学生活動は、他の学生と意見交流を通じた新たな学びを得られることがとても魅力的。「残り1年もさらに学びを深めていきたい」と抱負をのべました。

(民医連新聞 第1746号 2021年10月4日)