コロナ禍での模索と挑戦 共同組合活動交流集会の「オンラインプレ集会」を開催
「全日本民医連共同組織活動交流集会in山梨 オンラインプレ集会」が9月6日に開かれました。共同組織活動交流集会は、医療生協や友の会が地域に根ざした活動を交流するため、2年に1度を基本に開催されてきました。昨年9月には第15回となる集会が山梨県で開かれる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期に。コロナ禍の収束が見通せないなか、「来年こそは山梨で」との決意を胸に、共同組織活動交流全国連絡会が準備し、WEB形式で「プレ集会」を行いました。全日本民医連としてつかんでいるだけで、全国1500カ所で同時視聴されました。(多田重正記者)
冒頭、共同組織活動交流全国連絡会代表委員の木村吉伸さんがあいさつ。「コロナ前よりも、より良い未来を築くために模索」する共同組織のとりくみが全国にひろがっていることを報告し、「平和・いのち・人権のまちづくり」に向け、「社会的なつながりを強める」必要性を強調しました。
地域に根ざしつながる 困難に寄り添う実践
指定報告では、全国からコロナ禍で奮闘する7つの実践が紹介されました。
山梨・甲府健康友の会の副会長・深沢公子さんと、甲府共立病院組織課の右田厚子さんは、食料支援活動を報告。民医連職員、共同組織で力をあわせ、市民団体などの支援も得て「冬の市」「春の市」を開きました。「春の市」では一人ひとりに寄り添う形で案内したところ、来場者とスタッフの会話がはずみ、42人が友の会に入会。来場したシングルマザーの相談にも乗り、その後も支援を続けています。
神奈川みなみ医療生協の湊不二雄さんは感染予防マニュアルを作成・周知し、感染予防の仕切りなどを作成して、まちかど健康チェックをひろげた経験を語りました。
大阪・健康友の会みみはらの小倉孝雄さんは、父子家庭で、父が育児を放棄していると見られるAくんを支援したとりくみを紹介。友の会が開設した子ども食堂と、地域の子ども食堂や住民と協力し、学習・食事面などをサポート。保護者が保険証を渡さないため、受診できずに進行した虫歯も、民医連歯科の無料低額診療事業での受診につなげるなど親身にささえた結果、Aくんは働きながら定時制高校に進学できました。
岡山・倉敷医療生協の早川髙子さんは、感染予防の知識を学びながらフレイル予防、スポーツ、花見散策など、多彩な班活動の経験を報告。同生協では2019、2020年度のいずれも1万回超の班会を開催できました。
福岡・北九州健康友の会の吉久安則さんは、友の会員を対象に、約2万2000件の電話をかけ、7526人と対話した経験を報告。感染が不安で家に閉じこもりがちになっている様子をつかんだほか、「母親が動けなくなって床ずれができている」との訴えを聞いて訪問、入院に至った例も。友の会と健和会の共催で「いのちの電話相談」にもとりくみました。
北海道・道央健康友の会連絡協議会の吉岡ゆうさんは、昨年の共同組織拡大強化月間でとりくんだ友の会員1万人対話を報告しました。月間の意味をつかむ学習を軸に、各地で「スタート集会」を開催。職員と協力して訪問と電話かけにとりくみ、あわせて9315人と対話することができました。
沖縄医療生協の豊島晃司さんは、名護市辺野古沖で強行されている辺野古新基地建設工事を中止に追い込むため、あきらめない現地のたたかいを紹介しました。
苦悩と立ち上がる姿を表現 山梨憲法ミュージカル
出演者全員を山梨県民から公募した「憲法ミュージカル」の「Lucky Dragon」が披露されました。憲法ミュージカルの発足に至る経過と歴史を紹介した後、第五福竜丸のビキニ水爆実験の被ばく者や遺族の苦しみと立ち上がる姿を演じ、素人とは思えない迫真の演技で参加者の心を打ちました。
記念講演では全日本民医連副会長の根岸京田さんが、コロナ禍における民医連の奮闘を紹介。民医連と共同組織をつなぐ月刊誌『いつでも元気』の創刊30周年記念ビデオも上映され、新井健治編集長が活用を呼びかけました。
現地からアピール 「来年は山梨で」
最後は、山梨健康友の会会長の望月優さんが集会アピール。「困難な時ほど、組織の真価が問われる。かならずすべての共同組織の仲間に声をかけましょう。来年9月には山梨で会えることを心から願っています」と締めくくりました。
(民医連新聞 第1745号 2021年9月20日)