小人数、画面越しでも 刺激的な学びと交流を 各地の看護学生企画
コロナ禍2年目、今年も工夫を凝らした看護の後継者育成が行われています。各地の看護学生のとりくみを紹介します。
医学・看護学生合同で「健康ってなあに?」 一条通病院
【北海道発】医学生と当院看護奨学生の「コロナ禍だからこそできるZoom合同学習会」を企画したいと考え、8月28日、道北勤医協で初めて医学対と看護学生委員会共同の交流会を開催。研修医にも協力を依頼し、医学生8人、看護奨学生6人、当院卒後1年目の看護師5人など、計28人が参加しました。
5グループに分かれ、私たちがいま思う「健康」を発言しあい、研修医からSDHを学び、事例を展開。それぞれの気になる視点に刺激を受け、グループ発表でも多くの気づきを共有しました。「学校の仲間以外との交流は楽しかった」「気づきの視点、知識の引き出しが増えた」など、収穫の多い交流会だったことがわかる感想も。画面越しで学生や職員が大きくうなずき、傾聴しあう様子から、満足度は高かったようです。互いの気づきを尊重し、交流をはかった学生たちは、さまざまな場面で寄り添い、かかわれる仲間になると感じました。今後も学生たちが楽しみながら学べる企画で、後継者育成にとりくみたいと思います。(小西みゆき、看護師)
コロナ禍の子ども食堂 学生とともに盛り上げ 岩手民医連
【岩手発】コロナ禍で奨学生が一堂に会することができないなか、当県連が2カ月に1度開いている子ども食堂「おひさまカフェ」に8月7日、夏休み中の医学、看護奨学生計2人が参加しました。
子ども食堂の名前は知っているけど、中身はよくわからないという学生に意義を説明。早速お弁当の盛り付けや弁当配布を手伝ってもらいました。コロナ禍で弁当配布のみでしたが、初対面の奨学生同士が楽しみながら、民医連が子ども食堂を行う意義を理解して、一生懸命にとりくんでいました。
お弁当やお土産を「ありがとう!」「おいしそう!」と、うれしそうに持ち帰る子どもの姿を見て、学生から「またやりたい」「今度は食堂開催にかかわりたい」と前向きな感想が出ました。保護者からは「野菜嫌いの子どもが残さず食べた」「コロナ禍で大変ななかでの開催は助かる」と反響も大きかったです。「おひさまカフェ」はもちろん、他の企画も奨学生といっしょに盛り上げていきたいです。(伊藤勝太、事務)
学びの不安の解消に 今年も国試セミナー 東京民医連北中ブロック
【東京発】東京民医連は地域で4つのブロックに分かれています。そのうちの北中ブロックでは、合同で看護学生の国試対策セミナーを行っており、5年目の今年は計3回開催する予定です。
6月26日の1回目は感染対策のため会場の人数を制限し、オンライン並行(卒年学生は会場、遠方者や低学年はオンライン)で開催し42人が参加しました。フリーランス看護師の竹原直子さんを講師に、「毎年わかりやすく楽しみ」「根拠を理解しながらすすむので記憶に残りやすい」と好評です。
今回は講師の自宅から講義、配信してもらいました。Zoomの手書き機能を使った図の解説や、身振り手振りを交えながらの3時間半の講義は、「あっという間で楽しい時間だった」「覚え方のイメージも教えてもらいわかりやすかった」と満足度はこれまで以上。コロナ禍で実習や授業が制限され不安が大きい看護学生に、学びの場を提供し、少しでも不安を解消できるようとりくんでいます。(横島陽子、小豆沢病院・看護師)
「人権」をテーマにハンセン病差別を学ぶ 群馬民医連
【群馬発】昨年に続き、北関東甲信越地協全体のNEF(Nurse Egg Festival)は開催できませんでしたが、今年は各県連でとりくむことを確認。群馬では「人権」をテーマにハンセン病とその差別の歴史について学びました。
7月17日の看護奨学生の会で事前学習(DVD視聴・グループワーク)を行い、8月21日に看護奨学生21人の参加でNEFを行いました。両日とも開催はリモートで、群馬県草津町にあるハンセン病療養所・栗生楽泉園へのフィールドワークはかないませんでした。しかし、少しでも体験に近い経験をしてほしいと考え、「群馬・ハンセン病問題の真の解決をめざし、ともに生きる会」事務局長の大川正治さんの、ハンセン病患者が生きてきた姿についての講演を実施しました。
「正しい知識を身につけ、それを正しく発信することの重要さを学んだ」「歴史を学び行動を改めていくことで差別や偏見はなくなっていくと思う」などの感想が。学校の枠を超え、学生同士で話ができたことも貴重な経験になったようです。(中澤佳子、北毛病院・看護師)
食料支援で学ぶコミュニケーション力 福井民医連
【福井発】職員や組合員といっしょに地域の人に寄り添う姿を見て、役割やコミュニケーション力を学んでもらおうと、福井県医療生協主催の「第4回食料支援」に、看護大学の1年生2人に参加してもらいました。7月17日、暑い日にもかかわらず開始1時間前から並ぶ人もおり、高齢者から子ども連れの若夫婦、外国籍の人や大学生など80人が来場しました。
学生の1人は、受け付けを行いながら、感染予防のため廊下に並ぶ人に距離をとるよう声かけ。外国籍の人には並ぶ順番や待ち時間を説明し、日本語で書かれたアンケート記入の手伝いをしました。ていねいな対応で、コミュニケーションをとっていました。
もう1人は医療相談コーナーで看護師やケアマネジャーといっしょに、地域の人の「話がしたい」「社会とつながっていたい」という思いを聞き、対応する専門職員を間近に見て学びました。
学生たちは「それぞれ背景や困りごとがあることがわかった」「学生もいて他人事ではない現状を知ることができて良かった」と感想を寄せました。(奥出幸恵、事務)
学生と職員いっしょに寄り添う看護を考える 近畿地協
【兵庫発】8月21日、「近畿地協看護学生ゼミナールENSスピンオフ企画~いのちに寄り添う看護~」をオンラインで開催し、学生、職員含めて170人が参加しました。DVD「いのちに寄り添うコロナ禍の1年」を視聴し、各県連からリレートーク。コロナ病棟で働く看護師の生の声や外来でのとりくみ、県連を超えた看護師支援、訪問看護の事例、子どもの貧困などの報告がありました。後半はグループに別れて討論。感想や学校生活について意見交換をしました。助言者の看護師も学生の疑問や不安に応えました。
参加した学生からは「報道では伝わらない現場のことを知ることができた」「コロナによる医療、社会への影響と、とりくみを知れて良かった」などの感想が。看護学生向け企画でしたが、職員もコロナ禍の医療と社会の現状、いのちに寄り添う看護をあらためて考え、学生たちから元気をもらえた企画となりました。(岡田慎平、兵庫民医連・事務)
コロナ禍でもつながり 民医連の看護を伝える 岡山民医連
【岡山発】当県連では、コロナ流行以前は県連奨学生の集いを定期開催していました。学年別に学習(テスト前の専門科目から社会情勢まで)したり、全学年で1日かけて学習と交流をしたり、新入生歓迎や卒業生の送り出しなど、楽しく学び、民医連の後継者育成を目標に行ってきました。しかしコロナ禍で集合での活動は困難に。それでも、学生時代に民医連の看護をできるだけ紹介して受け止めてもらいたい、と看護学生委員会事務局や看護委員会で検討を重ねました。集合はできないけれど、私たちにはWEBというツールがあったのです。44回看護師受け入れ担当者交流集会の実践報告からも学びがありました。
学生の夏休みを利用し学年ごとにWEB企画。2年生には民医連の看護の理念に沿って各病院の看護実践を伝え、学生の質問を受けたり意見交換を行い、内容を深めました。看護の手法でどのように患者の思いを実現するか、各病院の実践に学んだ学生の思いもたくさん聞けました。コロナに負けず、民医連の看護を伝えていくことを、今後も実践していきたいと思います。(佐藤修、林道倫精神科神経科病院・看護師)
2年ぶりの「梅のつぼみ」 防災・災害対処を学ぶ 福岡・佐賀民医連
【福岡発】6月12日、看護学生歓迎交流企画「梅のつぼみ」を開催しました。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりにオンラインで開催。学生23人、職員11人が参加しました。テーマは「防災・災害の対処法」で、福岡市の地域防災課に講演を依頼し、災害から身を守るための心得や事前の備えなどを学びました。
講演後「災害から身を守るために私たちにできること」をテーマにSGD(分散討論)を行いました。熊本地震や九州北部豪雨災害を体験した学生がおり、「被災した時、何をどうしたら良いのか、どこに避難したら良いのか判断できず、防災の知識がないことを実感した」など、体験も交流できました。「災害を他人事と思わず、自分事として考える」「防災を意識して日々行動する」「災害時はまず冷静になって行動し、患者に不安を与えない」などの意見もあり、学びが深まりました。「視野がひろがった」などの感想もあり、有意義な時間となりました。(敷田美和、大手町リハビリテーション病院・看護師)
(民医連新聞 第1745号 2021年9月20日)