民医連奨学生に 聞く! 地域と歩む民医連に共感 家族まるごと看られる看護師に 岡山民医連 野竹明佑美さん(3年生)
なぜ民医連の奨学生になったのかー。全国の看護奨学生に聞く8回目は、岡山で学ぶ野竹明佑美(あゆみ)さんです。(稲原真一記者)
野竹さんはソワニエ看護専門学校に通う3年生です。子どものころから、ナース服姿の母親を見て育ち、その姿に漠然としたあこがれを抱いていました。物心ついてからは母親から仕事の話を聞いたりするなかで、本当にやりがいのある職業だと感じ、看護師をめざす決意をしたそうです。
母子家庭で3人きょうだいの末っ子という事情もあり、入学当初から奨学生になって積極的に活動しています。
■学びを深め共感
「奨学生活動は楽しいし、学校とは違う勉強ができます」と話す野竹さん。1年生の時には中国・四国地協のDANS(Dear Active Nursing Students)に参加しました。開催地の広島で平和学習を通して地協の仲間と交流し、県外の友人もたくさんできました。また「グループワークで役割分担や積極的に動くことの大切さを学びました」と言います。
奨学生としてのインターンシップでは、林道倫精神科神経科病院の精神科病棟での経験が印象に残っています。コロナ禍で行動制限があるなか、毎年恒例の病院の夏祭りがありました。「自分の考えや感情を表に出すことが苦手な患者さんも、一人ひとりが出店や出し物に積極的にかかわっていました。患者さんのことを考え、自主性を大切にしている病院だと感じました」とふり返ります。
昨年はコロナ禍で奨学生活動も大きく制限されました。大人数が集まることが難しいなか、岡山民医連では『民医連の綱領と歴史』のブックレットを活用し、4回に分けて学習とレポートを提出することになりました。学びをすすめるなかで野竹さんは、「民医連が地域の願いから生まれ、地域とともに歩んできた歴史と、市民といっしょになって声を上げてきたことに感銘を受けました。いまは奨学生であることを誇りに思っています」と語ります。
■民医連のあたたかさ
認知症デイケアでの実習中、現場の精神保健福祉士から「最近元気のない患者さんがいる。いっしょに自宅を見に行こう」と声をかけられました。自宅を訪問すると部屋は荒れていて、服薬していない残薬が見つかり、宅配の食事も食べていないことがわかりました。すぐにスタッフで相談し、週3日利用しているヘルパーの曜日を調整、食事の配達員やデイケアの運転手にも見守りを依頼することになりました。「ここまでするのかと思いました。地域に出て行き、多くの人と連携して患者にかかわる民医連は、本当にあたたかいな、と思いました」
また、野竹さんの祖母が民医連外の病院に入院したときのこと。4人部屋から個室への移動をすすめられ、差額ベッド代の重さを実感したと言います。「お金のあるなしが医療に直結している。民医連が差額ベッド代を取らないことは、いのちの平等の実践ですね」と話します。
■めざすは向き合う看護
将来の看護師像は「家族まるごと看られる看護師」と元気に答える野竹さん。コロナ禍で面会制限が行われるなか、患者だけでなく家族の不安に寄り添う現場職員の姿を見て、その姿勢にあこがれたと言います。「患者だけでなく、家族一人ひとりに向き合う姿がすごくかっこいいと思いました」。
そして、目標は患者の小さな変化に気づき、気配りのできる看護師になることです。「なかなか言い出せないような気持ちや心境を読み取り、傾聴し共感できる看護師になりたい」とその思いを語ります。
今年3年生の野竹さんに、後輩へのメッセージを聞きました。「奨学生活動は勉強にもなるし、たくさんの友人ができて楽しいです。民医連の素晴らしい活動も知れるので、ぜひ多くの人に参加して広げてほしい」と明るく答えてくれました。
(民医連新聞 第1743号 2021年8月16日)