みんなで実践 職員まもるヘルスケア 全日本民医連 職員健康管理委員会 (4)職員面接の工夫あれこれ
長引く新型コロナウイルス感染症の影響で現場が疲弊するなか、職員のヘルスケアはますます重要です。全国でとりくまれた、職員のヘルスケアを伝える連載第4回は職員面接がテーマです。
コロナ禍で職員のメンタルヘルスが心配されるなか、全員面接などを行うことになった事業所から、「面接ってどうやったらいいですか?」などの質問をもらう機会が増えました。そこで今回は、メンタルヘルスケアのための面接における、ちょっとした工夫について紹介します。
意外と知られていないことですが、メンタルヘルスケアのための面接では、事前準備がとても大切です。しっかりとした枠組みのもとに実施することが、デリケートなこころを安全安心に扱うための土台になります。事前準備では、面接の目的、場所、一人当たりの時間、面接で聞きたいこと(具体的な質問項目)、心配な様子が見られた際の対応の流れ、個人情報の管理などについて、あらかじめ協議し確認します。面接というと、「何を聞かれるのだろう」と構えてしまう職員も少なくありません。実施前に、目的や枠組みについてアナウンスしておくと職員の安心感につながり、本来の目的に沿った面接を実施しやすくなります。初回は面接時間を短時間に設定し、心配な様子が見られる場合には、2回目の面接を設定するようにしましょう。
私たち(心理士)が、新型コロナ関連の職員面接を担当するときは、面接で聞く質問項目をあらかじめ決めています。決まった質問項目をもとに行う面接を、半構造化面接といいます。質問項目を決めておくことで、複数の面接者が分担して実施する場合でも、面接者による質のばらつきを防ぐことができ、限られた時間でも効率よく必要な情報を収集したり、届けたりすることができます。面接で心配な様子が見られた場合は、活用できそうなサポート資源を洗い出しておき、必要に応じてつなぎます。面接担当者ひとりで抱えず、複数人で相談しながら対応しましょう。そのためには、面接で聞いた個人情報をどの範囲で共有し、守秘するかを、事前に明確にしておくことも大切です。
面接担当者のケアやサポートも大切です。自分自身の気持ちや体調、疲れ具合などをこまめに観察、ケアしましょう。担当者同士でサポートしあうことも大事です。面接の大変さや心配ごとを共有し、工夫を話しあうなど、担当者自身もケア、サポートされる枠組みづくりを意識しましょう。(大澤ちひろ、東京・公認心理師)
(民医連新聞 第1742号 2021年8月2日)
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