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民医連新聞

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一人じゃない ささえあいの輪を広げた「お手紙作戦」とフードバンク 大阪みなみ医療福祉生協

 6月29日に開催された全日本民医連共同組織委員長会議では、コロナ禍で共同組織の活動も制限せざるを得ないなか、仲間とつながり、ささえあう試みが報告されました。大阪みなみ医療福祉生協の実践を紹介します。

届いた手紙に「うれしかった」の声

 同法人では昨年7~8月にかけて、健診のおすすめを兼ね、コロナ禍の困りごとをつかむため、アンケート用紙を手に組合員宅の訪問活動を行いました。
 しかし38度に達するような猛暑日が続き「別の方法はないだろうか」と始まったのが「お手紙作戦」です。コロナ禍で外出を控えている人も多く、「一人じゃない」と伝えることが目的。同法人の「北野田エリア」でとりくまれました。組合員活動部の北村瞳さんは、「コロナ禍でがまんを強いられている人たちに、少しでもうれしいと感じてもらえたらという気持ちだった」とふり返ります。
 「お手紙作戦」は狭山南支部で始まり、秋の月間でエリア内の他の支部に広がっていきました。
 手紙は組合員が直接配布する方法と、機関紙に折り込んで配達する方法がとられました。機関紙を配達した組合員が、折り込まれた手紙に「お元気ですか」と手書きで一言添えたところ、自宅に「ありがとう」とお礼の電話が来たとの報告も。本部にも「人としゃべる機会がないのでうれしかった」などの電話が寄せられました。

食材の寄付が続々 ボランティアの応募も

 年明けからは「フードバンク」を開始。コロナ禍で収入が減り、生活に困窮している人が増えている現状を踏まえたとりくみです。
 初めてのフードバンクは2月末に法人で開催(来場者35人)。組合員と職員で実行委員会をつくり、会場を北野田診療所の駐車場としました。機関紙で知らせたほか、診療所周辺にビラを配布。すると毎日のように食材を寄付する人が診療所を訪れました。組合員はもちろん、20~30代の若い人たちの姿もありました。
 勤め先に箱をおいて食材を募集して寄付し、当日ボランティアをつとめてくれた人も現れました。後日「何も動いていない自分が心苦しかった」「今後も協力したい」とのメールが。「同じように思っている人はたくさんいるのでは、と確信になった」と北村さん。
 3月は河内長野支部が駅前商店街で地元の民主団体と協力して開催(来場者70人)。4月は府営狭山住宅(大阪狭山市)で自治会の協力も得て開き、「寄付できるところをさがしていた」という人や、ボランティアへの応募もありました(来場者120人)。
 シングルマザーのSOSもありました。4月のフードバンクは「ジモティ」(インターネット上の掲示板)でも宣伝したところ、無年金の母と小学生の子どもを扶養するシングルマザーから「市外からでもいいか」と連絡が。当日、東大阪市から大阪狭山市まで訪ねてきました。
 6月13日には健康友の会みみはらと大阪みなみ医療福祉生協の合同でフードバンクを開きましたが(来場者103人)、同じく「ジモティ」掲載の広告を見て、透析治療を受けながら中学生と小学生の子どもを育てているシングルマザーから連絡が来ました。「食事を満足に食べさせられない日がある」「会場までの交通費もない」との訴えで、県連の共同組織委員会(月1回)で相談。「シンママ大阪応援団」(シングルマザーの支援団体)につなぎ、支援物資を即座に送付してもらうことができて喜ばれました。

◇     ◇

 6月のフードバンクで来場者から回収したアンケートでは、「子どもがアルバイトできず、仕送り額が大幅に増えた」「中学生の女の子が2人いて(生理用品を)ギリギリまで使用している」などの声が寄せられました。
 フードバンクは法人の管轄するすべてのエリア(4つ)で開催した後、「全34支部で開催したい」と北村さん。「財政活動を行い、企業や行政とも連携しながら、フードバンクの活動を継続できたら」と前を向きました。

(民医連新聞 第1742号 2021年8月2日)