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民医連新聞

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副作用モニター情報〈557〉 ジスチグミンによる血清ChE値の低下

 ジスチグミン臭化物(先発名:ウブレチド)は重症筋無力症や低緊張性膀胱による排尿障害に広く用いられる薬剤ですが、コリンエステラーゼ(ChE)を強力かつ持続的に阻害するため、コリン作動性クリーゼの副作用に注意が必要です。

症例)80代男性、脳梗塞で入院中にバルーン抜去目的でジスチグミン臭化物錠5mg開始、服用25日目に中止。
<血清ChE値の変化>
 服用3日前:156
 服用5日目:95
 中止1日目:103
 中止14日目:165

* * *

 コリンエステラーゼはコリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素です。生体中には主に神経、筋肉、赤血球などに存在するアセチルコリンエステラーゼと血清、肝臓および膵臓に多く存在するブチリルコリンエステラーゼの2種類がありますが、ジスチグミンは両者を阻害することで効果を発揮するのに対し、血清ChE値は後者の活性を測定した値です。コリン作動性クリーゼの程度と血清ChE値に相関性はないものの、その多くで血清ChE値の低下が認められることが報告されています。今回の症例は幸い重篤な副作用には至りませんでしたが、ジスチグミンを投与する際には、定期的な血清ChE値の測定が副作用の早期発見に有用であると考えます。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1741号 2021年7月19日)

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