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民医連新聞

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診察室から コロナ禍で思うこと

 先日、入院を渋る患者を説得する機会がありました。発熱・体動困難で当院に救急搬送された60代の女性の患者で、普段、糖尿病で私の外来に通院している人でした。尿路感染症で入院が必要と診断されましたが、本人が入院を渋ったため、救急外来の先生も困ってしまって、外来主治医の私が説得にあたることとなりました。
 経済的困窮者でもあり、定期受診の際も検査などは必要最低限にしてほしいとのことで、そのように対応している人でした。そういう患者でしたので、私もてっきり金銭面のことを気にしているのかと思い理由を聞いてみたところ、「入院して内縁の夫と会えなくなるのが嫌だ」とのことでした。本当は金銭的な理由もあったのかもしれませんが、確かに普段から寂しがり屋な人なので、それも事実だと思いました。夫からも説得してもらい、何とか入院治療に繋げることができました。
 コロナ禍のため、私の勤務する小豆沢病院でも面会制限を行っており、以前のように患者が家族と気軽に会うことができなくなりました。他の入院中の患者で、自宅退院に向けて、その妻に経管栄養や痰の吸引などの指導が必要な人がいるのですが、そうした指導も時間制限や一定の条件下で行われている状況です。退院に向けたカンファレンスが先日、リモート下で行われましたが、妻は「入院しているとなかなか夫に会えないので一日も早く自宅に帰してあげたい」と切実に話していました。
 当院でもアプリケーションを利用したリモート下での面会を行っていないわけではないのですが、対応する職員が十分でないこともあり、患者・家族の要望に応えきれていないのが実情です。家族とのコミュ二ケーション不足にならないためにも、ワクチンの接種などがすすみ、こうした状況が早く解消されることを願います。
 一方で、この原稿を書いている時点では7月に東京オリンピックが開かれようとしていますが、医療従事者として違和感を抱かずにはいられません。(砂田恒一郎、東京・小豆沢病院)

(民医連新聞 第1740号 2021年7月5日)