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民医連新聞

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介護の未来をひらく 特養あずみの里裁判をたたかって 連載(11) 「三者の団結」が裁判勝利の大きな力に 日本国民救援会中央本部副会長 瑞慶覧(ずけらん) 淳さん

 全国の仲間の奮闘で「無罪」を勝ち取った特養あずみの里裁判。そのたたかいや教訓をふり返る、連載第11回は、日本国民救援会中央本部副会長の瑞慶覧淳さんです。

 国民救援会は裁判官の予断と偏見を許さず、事実と道理にもとづいた憲法が保障する「公正な裁判」を実現する運動を展開しています。そして事件当事者、弁護団、支援者の「三者の団結」が要で、裁判勝利を導く力として重視しています。あずみの里裁判では「三者の団結」が見事に発揮され、無罪判決を勝ち取ることができました。裁判から得た教訓や課題についてふれたいと思います。
 山口けさえさんが一審の不当判決に絶望し、たたかうことをやめていたら無罪判決はありえませんでした。山口さんは、会見で「職場や全国からの支援があって気持ちが強くなれた」とのべました。山口さんをささえた職場、地域、全国の仲間の支援が無罪判決の大きな力となりました。
 この「事件」で警察・検察が行った捜査はずさんで、医学的検証も不十分でした。事件当日何が起きていたのか、真実を明らかにしたのは弁護団の努力によるものでした。検察は当初、利用者がドーナツを喉に詰まらせないよう山口さんが注視する義務があるのに怠ったとして問題にしました。ところが、弁護団が作成した再現ビデオによって、検察の主張は当日の山口さんの動きを無視したものであることが明らかにされました。専門医の協力を得て、利用者の死因が窒息ではなく脳梗塞だと明らかにしたことも、控訴審のたたかいの大きな確信となりました。
 一審の不当判決後、全日本民医連を中心に医労連、保団連、国民救援会で「あずみの里控訴審を支援する中央連絡会」を発足させ、地元県の「無罪を勝ち取る会」とともに支援運動を展開しました。
 無罪を求める署名は73万人分、東京高裁・無罪判決後の検察に上告断念を求める団体署名は短期間に4648通が寄せられました。支援の広がりで、マスコミの報道も「一審有罪判決は介護の萎縮を招く」と批判する論調へ大きく変化し無罪判決につながりました。
 この裁判では、事故の再発を防ぐために職員が行った「反省会」や警察に不当に押収された資料が利用されました。介護・医療現場で、事故が起きたときの警察対応については、弁護士や国民救援会とも相談して、組織的に対応することが教訓となりました。

特養あずみの里裁判とは
 2013年、おやつのドーナツを食べた入所者が急変し、のち死亡。その場にいた看護職員個人が業務上過失致死罪で起訴された、えん罪裁判。無罪を求める署名のべ73万筆余りが集まり、20年7月に東京高裁で逆転無罪。

(民医連新聞 第1739号 2021年6月21日)