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民医連新聞

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副作用モニター情報〈555〉 全身麻酔・鎮静用剤プロポフォールによる着色尿

 プロポフォールは静脈麻酔薬として全身麻酔の導入と維持に、また鎮静薬として集中治療における人工呼吸器管理中の鎮静に用いられる薬剤です。今回はプロポフォールによる緑色尿について紹介します。

症例)60代男性、体重65kg
1日前 低酸素脳症で入院、低酸素脳症契機の痙攣(けいれん)出現。
投与1日目 ミダゾラム、抗痙攣薬投与するも効果なし。ミダゾラムからプロポフォール(以下、本薬)3mL/時に変更。
3日目 上半身痙攣持続、本薬5mL/時に増量。その後、8mL/時→12mL/時まで増量。
8日目 蓄尿バッグ(以下、バッグ)確認、暗緑色~黒色(ヘドロ色)に尿着色。ルート内の尿にテステープ使用し、pHが中性付近であることを確認。以降、患者状態に合わせて8mL/時→5mL/時と段階的に減量。バッグ内尿は黄緑~緑色、ルート内尿は黄色に着色。
12日目 バッグ内尿は黄緑色に近い黄色。
13日目 本薬3mL/時→1mL/時に減量。バッグ内尿は黄色。
14日目 本薬終了、以降の尿色調は黄色で経過。
 (※本症例は痙攣に対して使用しており適応外使用であることに留意)

* * *

 プロポフォールは、主に肝臓で代謝され、プロポフォール1,4-キノール体のグルクロン酸抱合体ならびに1,4-キノール体の硫酸抱合体として尿中に主に排泄されます。緑色尿や褐色尿はこれらフェノールあるいはキノール性代謝物に起因すると考えられています。また、このフェノールおよびキノール性代謝物は尿がアルカリ化することで尿中濃度が高くなると予測されています。一般的に、尿のアルカリ化は血液のアルカローシスやアルカリ化薬剤の投与、細菌尿で生じるとされており、このような状況でプロポフォールを投与している場合には尿の着色に注意が必要です。なお、プロポフォールの緑色尿の回復までの時間は、投与中止後2時間から48時間とさまざまであることが報告されています。
 また、緑色尿は、プロポフォールを鎮静目的で長期間使用した症例だけではなく、全身麻酔導入時のような短時間の使用での症例も報告されているため、条件がそろえば発生する可能性があることを念頭におく必要があります。(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1739号 2021年6月21日)

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