国と企業の賠償責任認定 建設アスベスト訴訟最高裁判決
5月17日、最高裁判所第1小法廷は、「建設アスベスト東京・神奈川・京都・大阪の第1陣訴訟」に対し、国と建材メーカーの責任を認める判決を出しました。また、「一人親方」も労働安全衛生法上の国の救済対象になると判断しました。
最初の東京地裁への提訴から13年。神奈川、東京、京都、大阪、九州、北海道、東北、埼玉など建設現場でアスベストを吸い込み健康被害を受けた被害者、遺族が各地で提訴。アスベストによる中皮腫などの疾患は、発症後急激に病状が悪化し、これまで約7割の原告1200人が亡くなっています。全国の原告、家族、弁護団、支援者の力を結集し、ひとつひとつ救済への道を広げてきた裁判が大きな成果を獲得しました。
一方、屋外作業の原告は救済の対象外とし、労働実態を無視した大きな問題を残しました。
判決の確定を受けて18日、菅義偉首相は原告に謝罪し、国は原告団と被害者救済のための合意書を締結。国は裁判を長引かせてきた姿勢を根本的に改め、すべての被害者救済の制度をつくらなければなりません。その際、共同責任がある建材メーカーにも賠償させる必要があります。
アスベスト建材を使用した建物の解体はこれからがピークになるといわれています。被害者救済と同時に、飛散防止対策の早急な強化が国に求められます。(働くもののいのちと健康を守る全国センター事務局次長 岡村やよい)
(民医連新聞 第1738号 2021年6月7日)
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