みんなで実践 職員まもるヘルスケア 全日本民医連 職員健康管理委員会 (2)新たな仲間を力に
長引く新型コロナウイルス感染症の影響で現場が疲弊する中、職員のヘルスケアはますます重要です。全国でとりくまれた、職員のヘルスケアを伝える連載第2回は介護現場の事例です。
新型コロナウイルスの感染が発生し、1年以上が経過しました。コロナ禍がもたらした社会への影響は計り知れません。飲食店の時短営業、ビジネスホテルや温泉旅館の利用者減、冠婚葬祭は縮小し家族のみで実施、電車・バス・航空機などの交通機関は減便や廃止、医療や介護・福祉事業では受診・利用控えが現在も発生しています。
しかし、介護・福祉現場での職員不足は変わらず深刻です。現場はコロナ対応で生まれた新たな業務や精神的な負担も大きく、十分な人材の確保は職員の労働環境、健康の維持にも重要な課題です。この1年間は他産業から転職し、介護職員として採用するケースが多くなりました。コロナ禍で宿泊客が減少し、旅館を解雇になった70代の元従業員を、認知症高齢者のグループホームで採用することになりました。温泉旅館で、宴会料理を毎日30~40人分つくってきたそうです。グループホームは職員を含めて10人の食事を日に3回つくります。グループホームの利用者は旅館で提供されていた、おいしい料理を毎日食べることができ、最高のよろこびに浸っています。
同様に昼の飲食店で配膳の仕事をしていた人、お酒を伴う夜の飲食店で働いていた人も採用しました。2人とも60~70代と高齢ではありますが、飲食店で働いてきた経験から接客は大変優れており、見習うべきことは多くあります。養成校を卒業し、「介護福祉士」の資格を取得して介護に関する知識と技術はあるけれど、社会の勉強はこれからという若い人たちの手本になるのではないかと考えます。
まだまだコロナ禍は続くと思われます。政府は政策として外国人労働者を介護・福祉現場に採用し、不足する人材に充てようとしています。しかし、介護・福祉現場は「生活の継続の場」であり、言葉の問題(特に方言)や生活習慣の違いで、生活に寄り添うことは困難な面もあります。そのことを考慮すれば、地域で長らく働いてきた人たちの手を借りることも、現実的な対応ではないでしょうか?
今後も他産業から介護・福祉現場に転職があるとすれば、その人たちといっしょに地域で安心して生活を続けられる環境づくりをしていきたいものです。そしてそれが、職員が安心して働き続けられる職場にもなります。(介護福祉士)
(民医連新聞 第1738号 2021年6月7日)