民医連奨学生に 聞く! 原点は患者の「ありがとう」その人らしさを大切にしたい 大分民医連 木許友香さん(3年生)
なぜ民医連の奨学生になったのか―。全国の看護奨学生に聞く6回目は、大分民医連の奨学生、木許(きもと)友香さんです。(丸山いぶき記者)
「卒業したら大分健生病院で働く予定の、民医連の奨学生です」と、元気に自己紹介してくれた木許友香さんは、現在、地元を離れて宮崎で学ぶ3年生です。
コロナ禍で臨地実習は制限されています。「先生たちが試行錯誤してくれて、学内実習も充実してきている。でも、やっぱり臨地とは違うので、この先大丈夫か不安」と木許さん。経験が足りないのでは? 患者に対するコミュニケーション能力を養えているか? 病気をもつ患者に対する手技として危険はないか? など、不安は尽きません。
そんな不安を、先輩や看護師として働く2歳上の姉の話を聞き、手技の練習をくり返すことで和らげながら、学びを続けています。
■出会いがつながり
看護師をめざしたきっかけは、高校生のときに参加したふれあい看護体験でした。患者の手浴を行い「ありがとう」と言われ、やりがいを感じたと言います。「本当は体験させてもらったこちらが“ありがとう”なのに。患者さんを理解して、コミュニケーションをとる看護師さんの姿もかっこよかった」と話します。
その後、大分健生病院の看護師体験にも参加。オムツ交換や尿測定など本格的な内容で、将来をイメージしやすく楽しい体験でした。「良いなと思っていた病院に、奨学金制度があると知り志望した」と木許さん。母子家庭で、当時は姉も学生だったこともあり、1年生の4月から大分民医連の奨学生になりました。
2019年夏には、九州・沖縄地協の看護奨学生のつどい、DANSに参加。県を越えさまざまな人と出会い、グループで制作をしたり、同じ看護師を志す仲間と情報共有や他愛のない話をしたことが、「新鮮で、とにかく楽しかった」とふり返ります。グループの仲間とは、今もインスタグラムで交流しています。
■地域と近い民医連で
めざすは、言葉による表出がなくても患者の気持ちに寄り添える、頼られる看護師。終末期医療や在宅での看取りにも関心があります。実習で終末期の患者の洗髪を経験し、「さっぱりしたー」と気持ちよさそうな姿を見て、やりがいを感じたからです。「その人らしい最期に携わりたい。在宅のリスクを最小限にできるような看護の介入や、環境を整えることができたら」と意気込みます。
『いつでも元気』誌を毎月読み、学生担当者に感想を送るという木許さん。昨年11月号の「けんこう教室」で取り上げた「コロナ禍と高齢者の健康」は、特に印象に残っています。データを示し、外出自粛で心身のおとろえがすすむことに警鐘を鳴らす内容で「学校では教わらなかったことを学べた」と話します。
そんな『いつでも元気』や、職員から聞く大分健生病院のとりくみ、在宅医療で役割を発揮していることから、「民医連は地域の人と距離が近いイメージがある」と言います。「大分健生病院も地域の人が来やすい病院」と将来の職場への期待に胸を膨らませます。
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後輩に向けて、「民医連の病院は温かいので、ぜひ、奨学生に志望してください。仲間が増えてくれたらうれしいです」と木許さん。最終学年に入り、現場への仲間入りを見据え、先輩職員にもメッセージをくれました。「できないことの方が多く、その都度聞くと思いますが、教えてくださるとありがたいです」。
(民医連新聞 第1736号 2021年5月3日)