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民医連新聞

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新連載 みんなで実践 職員まもるヘルスケア 全日本民医連 職員健康管理委員会 (1) 支援制度つくった職員の声

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響で現場が疲弊する中、職員のヘルスケアはますます重要です。そこで今号から、全国でとりくまれた、職員のヘルスケアを伝える新連載をスタートします。

 昨年A病院のある地域は新型コロナウイルスの感染者が、いつ発生するかわからない不安の中で対策を講じていました。5月、全国的に医療従事者への差別的発言が聞かれるようになったこと、全日本民医連からヘルスケア指針が発出されたことを受け、職員アンケートを行いました。
 アンケート結果から、業務量が増加し内容も複雑化したことへの負担感、業務中の緊張感が増し疲弊感や精神的負担感も強くなったとわかりました。また病院に勤めているというだけで受ける中傷的な対応に、つらさを感じている職員がいることが明らかになりました。こうした風評被害に対しては、病院管理部が中心になって、現場の実情や感染対策の情報を積極的に発信することで、地域の理解が得られるよう行動しました。
 感染疑いの患者を診療したことで家族への伝播(でんぱ)を心配し、ホテルに宿泊した職員がいることもわかりました。そうした職員から、ホテル利用時の宿泊費補助を求める声があがりました。ホテル利用を推奨するわけではありませんが、職員の不安を軽減できるならと、宿泊費補助を検討。あるホテルから「医療従事者に部屋を貸します」という案内があったため、職員が優先的に利用できるように手続きをし、宿泊費も病院が負担することにしました。
 さらに自治体とも交渉し、医療従事者のホテル利用にかかわる経費の補助が決まりました。この補助制度は後に対象を拡大し、市内の介護事業所にも適用されることになりました。職員のアンケートから拾い上げた声を受け止め、具体的に行動したことで、行政を巻き込んだ支援制度の実現に繋がりました。その後、市内で大規模クラスターが発生したとき、対応した職員数十人が長期間ホテルを利用することになりましたが、この補助制度があったことで、職員も病院もホテルを利用しやすかったのではないかと思います。
 大規模クラスターが発生した昨年11月末には、2回目のアンケートを実施しました。対策本部で決めたことが職員に伝わらず、混乱しているという内容が多くありました。そこで院内メール機能を利用し、職員全員に「メールマガジン」を発信することにしました。これもまた、職員の声から導き出されたものでした。(寺島由美、青森・看護師)

(民医連新聞 第1736号 2021年5月3日)