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民医連新聞

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建設アスベスト訴訟で「国の責任」確定 厚労大臣が原告に謝罪

 建設現場でのアスベスト(石綿)を原因とした健康被害について、国と企業の責任を問うた大阪の裁判で、国の賠償責任を認めた判決が確定しました。3月21日、厚生労働省の小林高明大臣官房審議官らが大阪市内で「国に責任があると認められた原告の皆様方に対して責任を感じ、深くお詫び申し上げます」との田村憲久厚労大臣の謝罪文を代読、原告に手渡しました。
 同様の裁判は全国で争われています。すでに東京、京都、大阪では、最高裁決定でアスベストの輸入・使用を禁止しなかった「国の責任」が確定しています。1975年以降に屋内の建築現場で働き(一人親方も含む)、労災認定を受けた人は賠償の対象となります。

■九州社会医学研究所所長・田村昭彦さんの話

 アスベストは最大の労働災害です。その中でも被害者の多い建設アスベストで国の責任を認める判決が確定し、厚生労働大臣が謝罪をしたというのは画期的です。
 国は、原告だけでなくすべてのアスベスト被害者へ賠償をすべきです。アスベストは潜伏期間が長く、発症のピークはこれから。安心して医療を受け、生活できる仕組みが必要です。
 建材に含まれるアスベストは大量に残されており、建物の解体などでアスベストが飛散する危険性は高い。アスベスト飛散防止と解体業者への健康対策を強化する必要があります。
 今後、厚労大臣があらためて謝罪の場を設けるということですから、将来にわたり責任を取ることを明確にしてほしい。夫を亡くした遺族原告の女性が、「障害のある長男と幼い次男を残し、夫は謝りながら死んでいった。謝るのはあなたではない、国が謝ったと伝えたい」と話していました。アスベスト被害の責任は誰にあり、誰が被害者なのかを明らかにし、新たな被害者を生まず、すべての被害者を救済することが必要です。

(民医連新聞 第1734号 2021年4月5日)