民医連奨学生に 聞く! 職員も学生も大事にする民医連で人権守る医療に長く携わりたい 青森民医連 長倉徳子さん(3年生)
なぜ民医連の奨学生になったのかー。全国の看護奨学生に聞く5回目は、青森で学ぶ長倉徳子さんです。(丸山いぶき記者)
昨年度は、コロナ禍で多くの看護学生が実習を受けられませんでした。そんな全国の仲間に向けて「私たちには、コロナ禍だからこそ学べたこともある。めげずにできることをやろう」と語ってくれた長倉徳子さん。農学部に入学後、強い意志を持って一般入試で看護学部に再入学を果たした経験を持つ、3年生です。
学生寮で知り合った看護学部の先輩に憧れ、子どもの頃からの看護師への思いを再燃させた長倉さん。農学部在学中に病院でのボランティア活動に参加しました。そこで患者に接する看護師の姿や病院の空気に触れ、「自分がいるべき場所はここだ」と決意を固めたと言います。
看護学部入学後、県内の病院が多数参加する医系学生向けの病院紹介イベントで、青森・健生病院と出会いました。実際に働く看護師の話から「働きやすい、職員を大事にする職場との印象を受け、ひかれた」と話します。
同院での看護体験では、上下関係をつくらず、等身大の人として患者と接する看護師の姿が印象深く刻まれました。「将来はこんな環境に身を置きたい」と感じた長倉さんは、2年生の春に青森民医連の奨学生になりました。
■あたたかい食料支援
昨年の前期課程はすべてオンライン講義になり、実習室で行う車椅子の操作や注射の練習などはできませんでした。後期から対面に戻りましたが、感染拡大で再びオンラインになり、影響を受け続けています。
下宿では自室にこもり、人との接触を減らす生活です。コミュニケーション能力が身につかない不安も感じています。外出や趣味のマラソンも制限され、居酒屋でのアルバイトも大学から禁止されました。
家賃や生活費をアルバイトの収入で賄っていた長倉さんは、収入が途絶え大打撃を受けました。そんな折に届いたのが津軽保健生協組合員からの食料支援。米やリンゴ、野菜、缶詰、レトルト食品、乾麺など、バラエティー豊かな食料を何度ももらい、「ありがたかった」と話します。
■医療の面から人権守る
「コロナ禍でも月1回、奨学生会議を開き続けてくれたことにも感謝しています。将来いっしょに働く仲間との長く続く関係づくりの場になっている」と長倉さん。学年も学校も違う学生と交友関係を深めています。昨夏は、津軽保健生協のOBが主催する「子ども食堂」にも参加しました。
民医連という組織や、日本国憲法も学びました。無差別・平等の医療をめざす民医連に共感し、「国民が精神的、身体的、社会的に最善の生活を送れるように、医療の面から人権を守る。そんな民医連の医療活動に長く携わりたい」と、力強く話します。
将来は「若い女性への保健指導にも力を入れられる助産師に、かならずなります」と目を輝かせます。不妊治療を受ける夫婦が増える一方、医療関係者がリスクを十分発信できていないことを懸念しています。「必要な情報を伝え、なんでも聞いて! という場を医療従事者側からつくり、出産を後押ししたい。そのための確かな医療行為をしたい」と意気込みます。
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特養あずみの里裁判で無罪を勝ち取ったことを知り、民医連で働きたい、との思いを強くした長倉さん。「民医連なら職員を守ってくれる。より広い視野を持てる。コロナ禍の奨学生への支援、学びの機会を提供し続けてくれていることからも感じます」 。
(民医連新聞 第1734号 2021年4月5日)