困難に立ち向かい人権を守る社会へ転換しよう 第44期第2回評議員会開く
全日本民医連は2月21~22日、第2回評議員会をオンラインで開催し、評議員83人(予備評議員含む)のほか理事など計184人が参加しました。第44回総会から1年。新型コロナウイルス感染症の影響から、全国でとりくむ地域や患者、職員のいのちと生活を守るさまざまな奮闘を交流しました。(代田夏未記者)
増田剛会長があいさつ。2月13日に発生した地震、そして東日本大震災から10年を迎え、あらためて真実を深く刻み、真の復興と原発ゼロをめざすとりくみを、と提起しました。1月22日の核兵器禁止条約発効を受け「日本政府へ署名・批准を求める活動を広げよう」と呼びかけました。新型コロナウイルス感染症でひっ迫する医療体制、ジェンダー平等、新自由主義からの転換に触れ、「人類史に残る大災難に直面すると同時に、社会を変革するチャンス」と呼びかけました。
岸本啓介事務局長が理事会報告。2月13日の地震や東日本大震災から10年を迎えるにあたり、あらためてMMAT、事業所でのBCPのとりくみを強めること、特養あずみの里裁判の教訓を浸透させることを呼びかけました。
方針案について「この1年はコロナ対応に尽力し、困難には協力して対応してきた」と話し、コロナ対応への民医連の実践が評価され、多くのマスコミが期待を込めて報道したと紹介。突破すべき問題として医師問題、経営問題について強調しました。
情勢では、改定特措法、改定感染症法の成立について補強提案が多く寄せられました。「感染症を罰則で押さえ込もうとする暴挙に対し、全日本民医連は抗議の意思を示す」としました。秋までにかならず行われる総選挙について「医療・介護を効率で切りすてる社会を変えなければならない」とし、社会の転換を訴えました。
続いて2020年度決算案の提案、会計監査報告、2021年度予算案を提案しました。
■全国から52本の発言
討論では文書発言9本を含む52本の発言がありました。
○東日本大震災から10年…福島の北條徹評議員は、福島第一原発の除染・廃炉作業の見通しが立たない中、生業(なりわい)裁判や汚染水の海洋放出の課題にとりくんでいると報告。宮城の宮沼弘明評議員は、災害公営住宅の訪問調査について報告しました。
○新型コロナウイルス感染症の対応、「2つの柱」のとりくみ…新潟の宮野大評議員は、介護従事者へのPCRの社会的検査を自治体へ要請し、職員の検査費の補助などが実現したことを報告。京都の小泉智香子評議員は、検査予約のキャンセルから無低診へつながった事例を報告しました。栃木の関口真紀評議員は他団体との共同を広げるために、地域の困難にSDHの視点を持ってとりくんでいると報告。東京の加藤亥威(よりい)評議員は、昨年12月から連携6病院と保健所が毎月懇談し、情報や問題点を共有していることを報告。新型コロナウイルスワクチン接種に向けたとりくみ(北海道)、自殺者数の増大傾向について(石川)など19本の発言がありました。
○情勢・運動課題…大阪の坂田進評議員は、歴史的勝利を収めた「大阪市を廃止し特別区を設置する」住民投票を報告。福岡の田中清貴評議員から介護保険の学習と署名にとりくみ、他団体から2000筆の署名が集まったこと、など9本の発言がありました。
○医師養成・医学対のとりくみ…沖縄の當山浩三評議員は、オンライン開催で奨学生会議参加者が増加、マッチング対策もSNSや動画を活用し、成果が出ていると報告。青森の今淳一評議員は、幹部医師を配置し、多職種と共同組織の力で医師集団がつくられたと報告しました。基幹型臨床研修病院指定取り消しの問題(岐阜)など11本の発言がありました。
○経営課題…徳島の宮本真里理事から新病院建設の中で全職員が経営を意識し、新病院開院後の経営基盤が構築されたこと、など6本の発言がありました。
○職員育成…山梨の清水季世子評議員は、次世代に向けた中長期計画策定のためプロジェクトを立ち上げ、そこで出た疑問を解決するために「おとなの寺子屋」を開催し、いまさら聞けない内容なども多く学びが深まっていること、など5本の発言がありました。
1日目の夜には、神戸女学院大学文学部教授の石川康宏さんが「資本主義の限界と変革」と題して講演しました。
(民医連新聞 第1732号 2021年3月1日)