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民医連新聞

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副作用モニター情報〈549〉 フルオロキノロン系抗菌薬 モキシフロキサシンによる心室頻拍

 モキシフロキサシン(製薬名:アベロックス)は2005年に発売、呼吸器感染症の主要起炎菌(特に肺炎球菌)に対し優れた抗菌活性を有し、肺組織への移行性が高いとされる薬剤です。適応症は咽頭炎、扁桃炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症が中心で、そのほか、副鼻腔炎と皮膚科領域に限定されています。
 2020年11月現在、当副作用モニターに報告されたアベロックスによる副作用件数は12件(発疹・薬疹4件、嘔吐(おうと)・悪心・ふらつき・動悸(どうき)・意識消失・アナフィラキシー様症状・幻覚各1件)です。今回、アベロックスによる心室頻拍(VT)の副作用が報告されたので紹介します。
症例)50代女性、体重85kg。気道感染に対してアベロックス400mg/日開始。
開始5日目 午後1時ごろから胸部不快感出現、病院受診し心電図上、VTを認めた。アベロックスによるVT疑いで即日入院、アベロックスは中止。その後、心電図モニター上でVTは認めず、心拍数60-70台で推移した。
中止2日目 胸部不快感は消失、退院となる。

* * *

 アベロックスは臨床薬理試験において、高齢者あるいは女性(高齢者および非高齢者とも)でQT延長効果が高率に発現する傾向が認められています。そのため、フルオロキノロン系抗菌薬で唯一、禁忌項目に「QT延長のある患者」と記載されています。
 体重50kg以下の患者においては有害事象(QT延長を含むすべて)発現率が高いという結果が得られており、体重40kg未満の患者では、低用量(200mg)を用いるなど慎重に投与することとされています。しかし、200mgに減量する根拠は示されていません(1回400mg以下を用いた臨床試験は未実施)。
 QT延長のハイリスクとされる高齢者や女性、また心血管疾患を有する患者に対するアベロックスの使用は、必要性を十分考慮し、副作用の兆候(めまい、動悸(どうき)、胸部不快感など)について具体的に説明し、兆候があった場合には医療機関を受診するように指導する必要があるでしょう。

(民医連新聞 第1731号 2021年2月15日)

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