核なき世界へ新たなスタート 核兵器禁止条約発効
1月22日、ついに核兵器禁止条約が発効しました。私たちは、初めて核兵器が「違法」となった世界で、次なる「廃絶」へ向けて踏み出しました。核兵器禁止条約発効の原動力は、核兵器の非人道性を訴え続けてきた被爆者の声です。結成前から被爆者に寄り添い、1966年(第14回総会)以降「被爆者医療」を位置づけて活動してきた民医連にとっても大きな喜びです。昨年11月に始まった「唯一の戦争被爆国である日本の政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める署名」に、大いにとりくみましょう。広島、長崎の職員の声と、発効に合わせた各地の行動を写真で紹介します。
被爆者の声に向き合い
長崎・上戸町病院院長 三宅裕子さん
原爆症認定の申請にかかわっていますが、認定される人はほんの一部で、多くの人が「被爆距離が遠い」「疾病が該当しない」「積極的な治療は必要ない」などの理由で却下されます。
国は原爆被害の実相を矮小化(わいしょうか)し、救済の切りすてをはかってきました。それは、核兵器禁止条約に背を向ける姿勢と符合しています。被爆者の声に、本気で向き合ってほしいです。
先輩たちに思いはせ
広島・福島生協病院 松井泰子さん(SW)
65年にわたり被爆医療を担ってきた当院で、私も多くの被爆者のみなさんと出会い、ともに被爆者運動にとりくんできました。
民医連には、同じく被爆者に寄り添い、核兵器をなくし平和を守る活動をしてきた先輩たちが全国にいます。あらためて、その大きな力と被爆者の祈りの重みを噛みしめると同時に、まだ日本は署名も批准もしていないという矛盾について考えさせられます。
核兵器禁止条約発効のポイント
2017年7月に122カ国・地域の賛成で採択された核兵器禁止条約は、昨年10月24日に批准国数50に達し、1月22日に発効した。核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、使用と使用の威嚇、譲渡、支配領域内での設置や配備を含むすべての行為を禁止する(1条)。
アメリカやロシアなどの核保有国と日本など「核の傘」に頼る同盟国は、これに背を向けている。非締約国に対する法的拘束力はない。しかし、核兵器が国際法上初めて「違法」となり、当然のように主張してきた「核抑止論」の正当性は失われる。核兵器を持つこと、それに頼ること、を許さない国際社会から「無法者」「恥知らず」のレッテルを貼られ、事実上拘束される。日本政府に同条約への署名・批准を求める自治体決議は528に上る(発効日現在)。
(民医連新聞 第1730号 2021年2月1日)