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民医連新聞

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副作用モニター情報〈547〉 ビーフリードによる皮膚障害

 アミノ酸・糖・電解質輸液である、ビーフリードによる皮膚障害の報告があったので、輸液の血管外漏出を含めて注意喚起を行います。
症例)90歳代、男性。
 肺炎、食思不振で入院後、左の足首上部付近より被疑薬(ビーフリード輸液)投与開始。
投与6日目 滴下不良のため確認すると、下腿・大腿まで、漏れによる浮腫・水疱形成あり。被覆材で処置。
投与7日目 左下腿水疱破損部、被覆材いっぱいに浸出液あり。
投与9日目 足首周囲に水疱多数、水疱破損部から黄色の浸出液多量。
投与10日目 投与中止。
中止1日後 水疱破れたところの皮膚にはがれ、赤みあり。左右アキレス腱付近に水疱あり。
 アズノール軟膏など塗布を行ない、中止4日後に改善した(完全に回復するのに10日間)。

* * *

 薬剤の点滴漏れ(血管外漏出)は、本来は医療上なくさなければならないことですが、実際には一定の割合で発生しています。ビーフリード輸液(及び類似薬剤)は、糖と電解質だけでなく栄養成分で重要なアミノ酸ビタミンンB1も配合されているため、栄養末梢静脈輸液として頻用されています。頻用されているが故に、今回のような血管外漏出時の重大性を見逃しやすいと言えます。
 輸液の血管外漏出は、浸透圧が高いほど皮膚破壊が起こる可能性が高くなります。今回使われたビーフリード輸液は、血漿との浸透圧比が3倍です。浸透圧比がほぼ1倍の維持輸液(いわゆる3号輸液)や乳酸リンゲル液などと比べるとかなり高く、中心静脈栄養の適応となる4倍に迫る高浸透圧の製剤です。
高浸透圧の薬剤投与時には、血管外漏出に注意し、血管外漏出が認められた場合には、直ちに輸液を中止すると同時に、各事業所で備えているマニュアルに沿って対応してください。
 また、終末期医療でしばしば用いられる持続皮下注射については、浸透圧比が1前後のものを使用してください。この場合の考え方も輸液の血管外漏出に準じます。

(民医連新聞 第1729号 2021年1月18日)

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