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民医連新聞

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韓国から コロナ後の脆弱階層の健康管理強化を見据えて 懸念される医療崩壊早期に病床確保を

 世界各国で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症。各国でさまざまな対策・政策が行われています。日本の隣国である韓国から、感染対策や医療現場の現状、政策について、韓国社会的医療機関連合会(社医連)共同代表の林鐘翰(イムジョンハン)さんの寄稿です。
(翻訳は黄慈恵(ファンチャヘ)さん)

■独立・専門的な感染対策

 韓国は2015年のMERSの経験から、感染症危急状況に備えた危機対策ができていました。そのため、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID―19)の対応が確立していました。中国でCOVID―19感染が拡大すると、即座にCOVID―19の診断キットの開発を承認し、早期防疫システムを構築。疾病管理本部を疾病管理庁に格上げし、感染対応に独立性と専門的な役割を持つようにしました。
 韓国は潜在的感染源について、スマホのアプリを通じて情報を提供し、「ドライブスルー」を含む大規模な検査システムを短時間で整えました。韓国の保健当局は、過去の感染症への対処の経験から蓄積したデータを治療にも活用し、陽性診断を受けた患者が自己隔離の原則を守っているのか、スマホのアプリで確認。病院で病床が確保されるまで定期的に連絡をとっています。韓国はいかなるときも、いかなる地域に対しても、封鎖措置をとりませんでした。国民の不便を最小化しつつ、感染症拡散に対応しています。
 COVID―19で職を失った自営業者のために、政府はさまざまな支援政策を発表しました。金融支援だけでなく、第1次災難支援金から第2次災難支援金まで。すでに支給は完了しています。しかし、冬になりCOVID―19感染が拡散し、零細商工業者の被害が大きいため、今年も支給することを論議しています。

■医療現場は

 冬になって気温が下がり、室内で過ごす時間が増えるとともに、地域社会の小規模感染が拡散。現在は1日に600人台まで急増しています(20年12月現在)。
 人員不足で迅速な診断と隔離などの疫学調査が困難に直面しています。病床も拡充されず、今のまま新規感染者の増加がすすめば、医療崩壊につながる可能性がある、と感染症の専門家は警告しています。
 介護療養型病院などの施設で集団感染も続いています。20年12月5日現在、集団感染の陽性診断者の5人に1人は介護療養型病院と老人ホーム、総合病院、老人福祉施設で発生しています。中でも、陽性診断の時点で数十人の患者がいっせいに発覚することが続いています。感染管理がしっかり行われず、施設内で感染が広がった後に発見されているからです。
 大規模な拡散が起こり、医療機関で陰圧病室などの治療施設が限界を超える可能性が懸念され、医療スタッフは依然として緊張を解くことができないでいます。利用可能な追加病床を早期に確保し、地域社会の感染を可能な限り遅らせることが求められています。
 今年4月ごろにワクチン接種が始まるとすれば、この冬が最大の峠になるかもしれません。この峠をしっかり乗り越えるよう、最大限の防疫に力を入れなければならないでしょう。

■COVID―19後の世界

 COVID―19後の肯定的な変化を予測する慎重な見解もあります。その中には、プライマリー・ヘルスケアの強化に関する変化があるだろうと、予想しています。1978年のアルマアタ宣言で、「全ての人々の健康」という目標を達成する戦略として、プライマリー・ヘルスケアが注目されました。急激な高齢化と健康の不平等、新型感染症が頻発する状況の中、日頃から脆弱(ぜいじゃく)階層の健康管理を重視するプライマリー・ヘルスケアがCOVID―19後には大幅に強化されると予想しています。

(民医連新聞 第1728号 2021年1月4日)