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民医連新聞

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お互いを知り、“参加型”の医師総会に オンラインで開催・宮城民医連

 宮城民医連は9月12日、オンラインで医師総会を行い、医師43人をはじめSW、看護師、事務、医学生など計87人が参加しました。事前に本番さながらのリハーサルを3回実施するなど、手探りの中でのとりくみ。ここ数年間続けてきた「参加型」のスタイルにこだわり、「顔の見える」医師集団をつくっていくにはー。コロナ禍での模索からたどり着いた初の試みです。(丸山聡子記者)

 宮城民医連の医師総会は毎年4月に開催してきましたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大のもと、開催の可否、開催方法などについて議論を重ね、半年後の9月にオンラインで開催しました。
 今年のテーマは「SDH(健康の社会的決定要因)」。冒頭、医師部長で同県連会長の宮沼弘明さんは「生活と労働の視点で、健康と患者の社会的背景を見ることは、民医連が以前から大切にしてきたこと。一方で、疫学的にエビデンスを出すことは苦手という側面もある。今日は大いに学んで、自分が、そして医師集団として、どうとりくんでいくか、考えるきっかけにしましょう」と呼びかけました。

■医師、SW、事務で深める

 はじめに、福岡・千鳥橋病院とオンラインでつなぎ、舟越光彦医師(福岡医療団理事長)が「患者から学び、研究にまとめるSDH~『すべての人に最高のケア』を目指して」と題して講演しました。
 その中で、民医連がとりくんだ若年性II型糖尿病の調査について報告。この調査では社会的・経済的状況と糖尿病合併症の関連を明らかにしました(図1、2)。舟越さんはこの調査を例に、民医連のSDH研究の優位性として、「SDHの視点があること」「患者との信頼関係の強さ」「日本の臨床研究にSDHの視点がない」「民医連の患者は社会階層が低い人が多いので、少ない標本数で研究が可能」「全国ネットワークの強み」があると紹介しました。
 2年目研修医の篠崎哲学さんが「精神疾患・家族背景ががん治療に及ぼす影響」について、同・山下舞伊子さんが「生活保護世帯の小児に対する医療」について、それぞれSDH症例として報告しました。その後、4~5人のグループに分かれて報告された症例について検討。SWも参加し、どんな制度を使ったか、患者が求める支援・制度が不足していた実態などについても学びを深めました。

■“参加型”の集まりめざし

 同県連は2003年に指導医の大量退職を経験しました。以前は年2回、医師団会議を開いていました。しかし、次第に出席者が減り、県連内の全医師の3分の1程度まで減少しました。
 前医師部長の阿南陽二さんは、「痛苦の経験を経て、医師集団として何をめざすのかを議論しました。同じ県連で働く医師の集団として、まず互いにどんな思いで働いているのか、どんな人間なのかを交流できる場をつくりたい、と考えました」と言います。
 以前の医師団会議のあり方に疑問を抱いていたひとりが、医師の渡部潔さんです。「発言する人が固定していて、長時間かかるが何が決まったのかわかりづらい会議が多かった。同じ仕事をする仲間としての意識を深めたいと考え、有志で“会議を良くするプロジェクト”をつくってとりくんだ」と言います。資料は事前に用意し読んで参加する、会議は決められた時間で終わる、必ず結論を出す…などをルールとして決めました。
 こうしたとりくみも参考に、医師団会議を医師総会にあらため、症例検討やポスターセッション、分散討論などを取り入れ、「参加型の集まりにし、懇親にも力を入れる」医師総会になるよう工夫を重ねてきました。

* * *

 今回、初のオンライン開催のため、ポスターセッションは中止、症例報告は当初の10から2に減らすなどの変更がありましたが、「オンラインという制限の中、思った以上に議論を深めることができた」と宮沼さん。阿南さんは「症例報告の事例の重みを通して、SDHの視点の大切さを感じることができたのでは」とふり返ります。コロナ禍が長期化する中、来年度のオンライン開催はさらに充実した内容になるよう、準備が始まっています。

(民医連新聞 第1727号 2020年12月7日・21日合併号)