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民医連新聞

民医連新聞

「身近で貧困が進行している」「日本はこのままでいいのか」 各地の学習月間のとりくみより

 6~9月、全日本民医連第44回総会運動方針学習月間での、各地の工夫したとりくみを紹介します。

奈良 学習から実践へ

気になる患者 利用者に電話かけ

 前期の綱領と歴史を学ぶ大運動で、非常時や判断に迷ったときこそ民医連綱領に立ち返り、歴史や教訓に学び、自ら実践につなげていくことの大切さを学びました。そこで奈良・平和会では、「運動方針学習とあわせて、気になる患者への電話相談活動に、全職員でとりくもう」と呼びかけました。
 きたまちクリニック・デイケアの職場ではDVD視聴学習会後、新型コロナウイルス感染拡大でデイケアを休んでいる利用者に、電話で近況を聞くことにしました。
 田中国雄さん(介護福祉士)は電話かけで、「公共交通機関の利用が怖い」「外出そのものが危険」と敏感になっている人も多く、閉じこもりがちな人ほど、テレビなどの影響で偏った情報による思い込みが強いことに気づきました。「マスクの着用や手指衛生、3密の回避で感染予防できることなど、正確な情報を伝えることで、過度な不安が払拭され、外出するきっかけにつながる。今後も電話かけを継続したい」と話します。
 とみお診療所在宅介護支援センターでは、運動方針(案)が届いた2月頃から毎朝、少しずつ読み合わせ学習を実施。新型コロナウイルス感染拡大で訪問ができない中、職場をあげて気になる患者への電話相談活動を始め、訪問再開後も継続しています。
 早川幸子さん(ケアマネジャー)が担当した40代の女性は、認知症で週2回デイケアを利用する母と2人暮らし。電話で最近の様子を聞くと、パートの仕事が激減し、結局退職して求職中で、きょうだいの援助で何とか生活しているものの、「家計が苦しく母のデイケアも減らそうかと悩んでいる」とのことでした。認知症の母に感染予防策を理解してもらえない、仕事が見つかっても日中独居となる母の認知症の進行が不安、などの葛藤が交錯する中、話すことで徐々に不安も軽減。デイケアは継続することになりました。
 早川さんは「運動方針にもある貧困や不安定雇用の問題が、私たちの身近で進行していることを実感する。あらためてSDHの視点で、ていねいに話を聞くことが大切」と話していました。
 運動方針の難しい文章も実践を通して身近に感じ、疑問や怒りから「なんとかしたい」と主体的な思いが芽生え、行動にもつながっています。(亀本和也、平和会・事務)

埼玉 さまざまな企画で推進

 埼玉民医連では、学習月間を推進する企画を用意しました。運動方針決定集は3人一組の「読了トリオ」で励まし合い、読了後はトリオ感想用紙を提出。304人が読了しました(10月24日現在)。総会DVD学習クイズ大会も開催。DVDを見た後に、おさらいの意味も持たせてDVDの内容から出題されるクイズをみんなで解きながら、職場で学習交流を行いました。通年でとりくむ「やりがいちゃんスタンプラリー」は、学習したらスタンプ1個、講師をしたら2個など、事業所ごとにルールを決めゴールをめざすとりくみで、学習のモチベーションアップにつながっています。
 職員からは「新型コロナ対策で業務がどんどん見直され、現場は混乱したり、ついていくことも大変。しかし決定集を読み、このような事態だからこそ、多角的に診る視点を大切にしたいと思った」と感想が出るなど、これまでと少し違う学習月間でした。日本の社会保障の脆弱(ぜいじゃく)性や、医療機関・介護事業所への補償がない現実に気づき、自分に引き寄せて「日本はこのままでいいのか?」という声が多かったのが印象的でした。(石井晶子、埼玉民医連・事務)

千葉 目標達成にこだわり

 千葉民医連育成部には、40事業所中27事業所から、総会DVD視聴の感想文314枚が届いています(10月20日現在)。ひきつづき、感想文提出と主任以上の決定集読了という目標を、最後まで達成しよう、と呼びかけています。
 老健まくはりの郷では、全職員の名簿のリストをつくり、常勤職員35人全員と、非常勤ほか合わせて46人が感想文を提出。忙しい中、昼休憩を使い順番に視聴したり、個人でDVDを借りて視聴したり、職場の協力のもと視聴、感想文の提出に管理会が最後までこだわってやり遂げた、と報告がありました。職員からは「コロナの影響で必要な医療、介護が受けられない事例が増えると思うので、手遅れになる事例を少しでも減らしたい」「地域とともに医療機関との連携を強めて、安心して住み続けられるまちづくりを支援したい」などの感想がありました。(阿部礼子、千葉民医連・事務)

(民医連新聞 第1725号 2020年11月2日)