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民医連新聞

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副作用モニター情報〈544〉 SGLT2阻害薬による正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス

 SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出するという新しい機序の糖尿病治療薬として発売されました。また、慢性心不全患者の予後改善効果が認められたことからも注目を集めており、使用量も増加しています。
 一方で、SGLT2阻害薬に関連する副作用報告も増えてきています。全日本民医連副作用モニターとして2例目となる正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス(eDKA)が報告されたので、紹介します。

症例) 80代女性。1年以上前からカナリア配合錠(テネリグリプチン+カナグリフロジン)で血糖コントロールを行っていた。順調に経過していたものの、副作用発現2カ月前から食事療法が守れなくなり、HbAlcの上昇がみられた。副作用発現5日前から食思不振、おう吐があり、症状は持続。救急外来を受診し、採血結果(尿中ケトン:+4、血糖値:232)から、eDKA疑いで入院となった。おう吐は腫瘍による狭窄(きょうさく)が疑われている。入院時から内服薬はすべて中止となり、インスリン持続点滴+補液開始。治療開始時から悪心・おう吐は改善し、入院4日後には尿中ケトン+1に改善、入院17日後に陰性化し、退院となった。
 eDKAが発症した際の対応方法としてSTICHプロトコル(下記)があり、今回の症例もSTICHプロトコルにのっとった対応が行われました。
(1) 直ちにSGLT2阻害薬の服用を中止する
(2) インスリンを必要量の1.5倍投与
(3) 糖として30~60gを投与
(4) 水分を200-500mL/hrで投与

* * *

 SGLT2阻害薬によるeDKAは非インスリン依存的に発生すると推察されています。eDKAを防ぐためには、その前段階としてのケトーシスを避けることが重要です。アルコール過飲、低炭水化物食は避け、何かしらの理由で絶食、長時間の運動などを行う場合にはSGLT2製剤の一時的な中止を検討する必要があります。

(民医連新聞 第1725号 2020年11月2日)

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