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民医連新聞

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なぜ学ぶ? 何を感じる? 20年続く神奈川・平和学校

 神奈川民医連では2000年から毎年「平和学校」を開催し、のべ257人が参加しています。戦争の歴史や平和、そして“なぜ民医連職員が平和を学ぶのか”を学ぶ平和学校を取材しました。(『いつでも元気』編集部・奥平亜希子記者)

 「平和について今まであまり考えたことがなかった」「上司に言われてなんとなく参加した」―。
 受講生の大半が平和学校の入学式で語る言葉です。神奈川県には横須賀基地やキャンプ座間など、米軍関連の12の軍事施設がありますが、そこで何が行われているのかはあまり知られていません。
 平和学校では県内の米軍基地・戦跡だけでなく、事前学習をしたのちに沖縄に行き、米軍新基地建設とたたかう辺野古などを見学します()。グループワークでは、自分の思いを話すと同時に、みんながどのように感じたのかを共有。戦争の歴史や平和について学ぶだけでなく、何を感じたのかを考えることが平和学校での学びの大事なポイントです。
 カリキュラムを終えると、7月の「ピースフェスティバル」での卒業発表に向けて準備を始めます。フェスティバルは平和を学ぶ企画として神奈川民医連が主催し、今年で22回目。共同組織の人も含め300~400人が参加する恒例行事で、「若い職員が平和について学んでいてうれしい」と、卒業発表を目当てに参加する医療生協組合員や友の会員もいます。


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■職種も年齢も超えて“学ぶ”

 今年は新型コロナの影響で3月講座以降は中止。ピースフェスティバルに参加できない受講生もいました。そこで、8月27日の卒業式に5月講座で行く予定だった登戸研究所保存の会の森田忠正さんの講義と、卒業式に参加した上司の前で再度卒業発表をしました。
 明治大学生田キャンパスに残る登戸研究所は戦時中、秘密戦・謀略戦にかかわる研究開発、生物化学兵器の研究や偽札づくり、風船爆弾の製造を行いました。汐田総合病院の小澤瑞紀さん(看護師)は「加害の話は学校ではほとんど習わなかった。ドイツではナチスのしたことを学んでいるのに、日本では加害の歴史を知る人は少ないと思う」と感想を述べました。
 職場も職種も年齢も超えて、戦争や平和に触れる平和学校。川崎協同病院の大西美帆さん(臨床検査技師)は「知らなければ、平和について考えることもできないと思う」と“知る”ことの大切さを実感。戸塚病院の二宮萌さん(看護師)は「ふだんの仕事では病院の人としか接しないけど、平和学校では別法人の多職種の人と学ぶことができた」と話しました。
 卒業式の最後のあいさつで神奈川民医連会長の野末浩之医師は、新型コロナウイルス感染症が広がる今だからこそ平和を学ぶことへの思いを述べました。「私が子どもの頃はまわりに戦争体験者がたくさんいたが、今は話を聞ける機会がどんどん減っている。戦争のない社会といのちを脅かす感染症に対応する社会。医療従事者として、この両方と向き合っていきましょう」。

(民医連新聞 第1722号 2020年9月21日)