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民医連新聞

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副作用モニター情報〈541〉サプリメントのナイアシンによる紅潮

 サプリメントのビタミン剤、ナイアシンによる健康被害の報告がありました。

症例) 30代女性。不眠の改善、健康維持のため、Now Food社のナイアシンを購入。500mg錠1錠を服用。服用30分後から紅潮とピリピリとした皮膚刺激感あり。1時間後に症状はピークとなり、受診。アナフィラキシー様の症状は認められなかった。
 服用2時間後ぐらいから皮膚症状が少しずつ軽快したため、治療のため処方された医薬品は服用せず。発症3日後に症状は消失し、回復。ナイアシンの過剰摂取による可能性が高いと考えられた。

*  *  *

 ナイアシンは「ニコチン酸」と「ニコチン酸アミド」の総称です。サプリメントは「脳神経の働きを助ける」「肌を健康に保つ」などといわれていますが、十分なデータはありません。ナイアシンは、水溶性ビタミンですが、耐用上限量が決められています。30代女性では、1日の推奨量12mg、耐用上限量250mg。過剰摂取で、一時的な顔の紅潮や掻痒(そうよう)感、めまい、頭痛、胃腸障害、肝毒性などが起こることがあります。ナイアシンの欠乏症は、皮膚炎・認知症・下痢を起こすペラグラですが、日本人では欠乏症はほとんど見られません。2017年の国民健康・栄養調査では男女ともほぼ推奨量を満たしています。
 ナイアシンの紅潮は、内服開始時や増量時に起こる場合があります。日本の栄養機能食品のナイアシンの基準値は、下限値3.9mg、上限値60mgですが、この事例は、1回1錠500mgの服用でした。Now Food社は米国のサプリメントメーカーです。海外のサプリメントは日本の耐用上限量を超えた商品があるので注意が必要です。

(民医連新聞 第1722号 2020年9月21日)

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