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民医連新聞

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過半数の法人が減収 存続危ぶむ声も 新型コロナ介護事業所影響調査

 全日本民医連の林泰則事務局次長は、「新型コロナウイルス感染症介護事業所緊急調査」の結果を報告しました(6月5~25日実施、76法人が回答)。介護現場では、3~5月に利用を控えていた利用者が徐々に利用を再開しているものの、防護具などの不足、「密」を避けられない環境でのケア、職員体制の厳しさなどに直面しています。経営的ダメージも解消の道筋は見えていません。

事業経営への影響 4月の介護収益は前年同月比で2700万円減少し、76法人中40法人(52・6%)が減収です。43法人で経常利益が前年より減りました。

訪問介護 利用控えの一方、施設から在宅へ移行した人の新規利用で利用者数が増えた法人も。コロナ禍以前からのヘルパー不足も深刻。「70歳超のヘルパー2人が感染の恐怖で働けないと休職」(神奈川)、「外出を控え、買い物援助が急増」(岐阜)、「感染する不安と自分が感染源になり感染を広めるかもしれない不安」(広島)

訪問看護 利用控えで大幅減収の一方、在宅への移行や終末期の看取りへの対応などで訪問回数が増えたケースが。発熱がある利用者への訪問の可否で苦慮した、利用者が感染し担当看護師が自宅待機となり、体制に影響があったとの回答も。「14人の利用者が一時中止、のべ102回の訪問が減少」(福岡)、「事業所の密を避けるため自宅から直行・直帰。報告書作成など残業代が増大」(島根)

通所介護 感染を不安視する利用控えが多数発生。自治体による全事業所への一斉休業要請や全国で約900の事業所の自主休業もありました。ひきつづき「密」を避けるために利用者の受け入れ制限などが予想され、事業所の存続を危ぶむ声も寄せられました。「1日平均利用者数が2月21・8人から4月18・3人に減少」(奈良)、「密を避けるため、入浴回数を減らさざるを得ない」(富山)

通所リハ 医療機関併設の事業所も多く感染を不安視する声が強い傾向でした。「6事業所で3月260件、4月797件、5月686件の利用控え。全体で20%、1700万円の減収」(大阪)、「送迎人数を調整し送迎回数増加、消毒などで業務量が増え、利用者減少でも超過勤務が発生」(千葉)

短期入所 在宅で過ごす不安や家族の介護負担の軽減、他事業所の休業などでの利用増加もありました。「自粛などでのキャンセルで減収が53万円ほど」(大阪)、「他県から来て在宅で介護していた家族が来られなくなり、入所期間延長や新規利用が増加」(長野)

居宅介護支援 通所系サービスなどの利用控えに対する代替サービスの調整に苦慮。対応しても利用そのものが中止となり、居宅介護支援費を請求できないケースも。利用者宅へ訪問できず状況把握が困難だったり、認定調査や審査会の遅延による暫定プランの増加もありました。「『モニタリング訪問にはなるべく行かない』という市の方針があり、状況把握が困難。信頼関係が崩れると今後の支援にも響く」(徳島)、「認定期間が延長され、状態悪化しているケースで区分変更がすすまない」(東京)

* * *

 林さんは、衛生用品・防護具の確保・供給、検査体制の強化に加え、全介護事業所を対象に、新型コロナウイルス感染症での減収分に対する補てんを行うことなどを強調しました。「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的取扱いについて(第12報)」の運用に際し、介護報酬の積み増し部分について、利用料負担、区分支給限度額の対象から外すこと、などを求めました。

(民医連新聞 第1720号 2020年8月17日)