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民医連新聞

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副作用モニター情報〈539〉 アピキサバン(商品名:エリキュース)による血尿の副作用について

 DOAC(直接経口抗凝固薬)と言われる抗凝固剤が非常によく使われるようになりました。以前は、心房細動に対する薬剤はワーファリンのみでした。ワーファリンは、ビタミンKに対する拮抗薬であり、納豆や大量の野菜のように、ビタミンKを豊富に含む食品が禁忌であり、他の薬剤との相互作用も多数あり、使いにくい面もありました。
 DOACはそのような規制がなく、使いやすい面もあります。しかし、今回の症例のように、十分な注意をしないと内臓出血や脳出血のような致命的な出血につながる可能性がります。
 症例)90代男性
 以前に、クロピドグレル(商品名:プラビックス)とアピキサバンによる血尿の疑いで、一時、中断していたが、アピキサバンが再開になった。
 再開2カ月後くらいから、たびたび血尿が出ていたが、本人は泌尿器科医に伝えていても、内科医には伝えず。11カ月後、トラネキサム酸が処方された。止血剤としての処方であり、薬局の薬剤師が「血尿症状」を聞き取った。本人は「血尿が時々出るのが治らない。泌尿器科医には『内科から出ている薬のせいだろう』と言われている。仕方ない」と説明。薬局から内科医に情報提供し、中止になった。
 アピキサバンの添付文書によると、腎障害(Ccr15~50mL/min)には慎重投与、さらに高齢者についても、「特に80歳以上の患者に関しては、腎機能低下(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)および体重(60kg以下)に応じて本剤を減量すること」との記載があります。今回の患者はすべて当てはまる症例でした(1日用量は減量されていた)。
 血尿のみの副作用であれば、緊急性が認識されない可能性があります。しかし、DOACによる血尿は、全身が同様に出血しやすい状況になっていると考えられます。その場合、DOACの1つであるプラザキサ®のブルーレターのような、死亡の危険性のある消化管出血や、脳出血などの重篤な副作用を起こすことに留意する必要あります。

(民医連新聞 第1720号 2020年8月17日)

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