豪雨災害 被害は広範に 各地で支援始まる
7月3~4日にかけて、熊本県を中心に豪雨による甚大な被害が発生しました。その後、九州北部、長野、岐阜、静岡などにも被害が広がっています。各地で支援が始まっています。
九州豪雨
15分で肩まで水位が 避難所で健康相談、安否確認
停滞する活発な梅雨前線の影響で、7月3日からの大雨で河川が氾濫し、熊本や佐賀、福岡など西日本を中心に甚大な被害が出ました。これまでに72人が死亡し、13人が行方不明になっています(7月13日現在)。
民医連の事業所では、福岡・つばき薬局、デイサービス虹の木が浸水(乗用車も)、道路の寸断で職員が出勤困難になりました。職員の自宅、自家用車の浸水、共同組織の人の家が流されるなどの被害が出ています。
熊本民医連は、7月4日に災害対策本部を設置。被災地への訪問、安否確認、被災状況の把握に全力をあげました。翌日には八代市にある2カ所の避難所を訪問し、健康相談を行いました。薬がない、保険証がないなどの声が寄せられました。また、被災した民間病院からの入院患者を水俣協立病院で受け入れています。
福岡民医連も7月6日に災害対策本部を設置し、豪雨被害が大きい親仁会、くるめ医療生協、佐賀県医療生協の専務理事が出席し、情報を共有しました。
■友の会会員を訪問
米の山病院では、6日午後3時ごろから雨が激しくなりました。河川が氾濫し、行き場をなくした水が市内中心部に集中し、多くの道が通行止めに。帰宅できなくなった職員やデイの利用者、関連法人の保育園の親子などが、高台にある病院で一晩を過ごしました。
本部組織部の職員2人も帰れずに病院に宿泊。組織部の米村理恵さんのレポートです。
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6日の夜から、手分けしてありあけ健康友の会会員への電話かけを始めました。独居や持病がある人などあらかじめリスクの高い人はリストにしていたので、まずはその人たちに電話しました。
9日には、友の会の三役で支援対策会議を開き、被災から2日間で集めた情報を共有。その後、特に被災が大きかった市内の地域を車で巡回し訪問もしました。
ゴムボートで救出された人も多かった上屋敷の地域では廃材や家具、車が散乱し異臭も。3歳と5歳の子どもがいる30代の夫婦に、お菓子とカップラーメンを持って訪問したら「昨日までは部屋が浸水していて、家具や家電を運び出すのに必死だった。私、被災したんだとぼうぜんとしていたところに訪問してもらい、ホッとした」と涙していました。貴重品をもって逃げようとしたら、足首まであった水位が15分ほどで肩まで上がり溺れないよう必死だった、と話していました。
後日、友の会から高圧洗浄機を持って手伝いに来ること、体調不良や助けが必要になったら連絡できるようにと連絡先を伝えました。
ほかにも「実家が流された」「床下浸水で恐ろしかった」「避難所に逃げようにもとっさに行動できなかった」と、口々に話していました。市内の道路のあちこちに車が乗り捨てられ、土砂崩れもあり、二次災害も心配です。
友の会でも、地域の人に寄り添い、募金活動をはじめ、今後何をしていくか検討する予定です。
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全日本民医連は、被災自治体での医療費窓口自己負担、介護保険利用料の免除、医療・介護保険料の減免の早急な実施、保険証がなくても受診できる措置を講ずることを国に申し入れました。
また被災地の支援募金を呼びかけます。
(民医連新聞 第1718号 2020年7月20日)