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民医連新聞

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もともと異常な高学費新型コロナで学生困窮 FREE医学生チーム 戸田さや香さん

 高等教育無償化プロジェクトFREEは「新型コロナ感染拡大の学生生活への影響調査」を行い、「5人に1人が退学を考えている」などの実態を明らかにしました。224人の医学生からの回答もあり、FREE医学生チームが公表。メンバーのひとり、都内の私立大医学部5年生の戸田さや香さんに聞きました。(丸山聡子記者)

 医学生の回答の内訳は、国公立大18校74人、私立大19校149人でした(5月14日現在)。医学生にもコロナの影響は甚大です。経済的な悩みのほか、実習は中止、国家試験はどうなるのかなど、先の見通しが立たない不安でいっぱいです。
 私立大医学部の学費は平均年509万円。私立大学に通う学生は裕福な家庭と思われていますが、実際にはバイトや奨学金で工面している人が多く、それが立ちゆかなくなっています。

■来年の学費を払えるか

 ごく普通のサラリーマン家庭で育ちました。国立大学を志望しましたが叶わず、奨学金を借りて私立大学に入学。経済的理由で夢をあきらめた父は、マイホーム購入のための貯金を学費に充てて私の夢を応援してくれました。
 バイトで生活費をまかない、奨学金は貯金して学費の足しにしてきました。しかし、3月に大学からバイト禁止の通知があり、月5万~6万円あったバイト収入はゼロ。貯金を取り崩す生活となり、来年の学費を払えるのか不安です。
 医学生の回答では、バイト収入(減った35%、ゼロになった27%)や親の家計収入(減った47%、なくなった4%)などは全体の回答と同様です。しかし、全体では5人に1人が退学を考えているのに対し、医学生では94%が「考えてない」と回答。奨学金などで高い学費を払っている場合、医師になれば返せますが、退学したら返せないからです。
 私立大医学部は6年間で総額2000万~5000万円かかります。一部の人しか医学部に進学できません。コロナ以前に、日本の学費が異常に高い根本問題を多くの人に知ってもらい、変えていきたい。

■全ての学生に支援を

 学生支援緊急給付金が始まりました。しかし、対象は非常に限定的です。受給の要件に「家庭から多額の仕送りがない」という項目があります。「多額」の目安は年間150万円で、学費も含まれます。私立大医学部の学費を考えれば、これだけで大半の人が対象から外れてしまいます。
 バイトでなんとか回していた生活が、新型コロナで行き詰まっています。コロナの影響は全ての人におよんでいるので、給付金は全学生を対象にすべきです。

■将来への不安

 医学部は実習が多いですが、ほぼ中止・延期となっています。実習は国家試験の受験要件でもあり、今後どうするか、国の方針が出ておらず、学生の不安を広げています。
 夏休みに実習がずれ込むという報道もあります。しかし、夏休みは希望する病院で見学・実習をするなど医学生にとって重要な時期なので、それも不安です。
 大学での授業も始まり、実習なども再開する見通しです。今後は、医学生向けの内容を加えてアンケートを実施したいと考えています。遅れている実習や試験がどうなるのか、実態や悩みも把握できるものをめざします。医学生が抱える問題、医学生の実態を広く知ってほしいし、多くの医学生とつながっていきたいと思っています。

*  *  *

 医療や介護の現場で働くみなさんには、医療従事者の卵たちが、学ぶこともままならない状態で苦しんでいることに目を向けてほしいと思います。


アンケートから

●バイトができなくなり収入が減った。学費を出すのに精一杯となり貯金を取り崩している(東北大6年)
●自営業の親が休業し、収入が完全にゼロ(日本大2年)
●父は廃業の危機。母が看護師だから給付型奨学金は受けられないが、学費は母の給料で払える額ではない(愛知医科大6年)
●実習も就活のため見学もできていない。医療現場が忙しく、就活のための情報が更新されない(慶応大6年)

(民医連新聞 第1717号 2020年7月6日)