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民医連新聞

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副作用モニター情報〈536〉 炭酸リチウム(リーマス®)による甲状腺機能低下症

 リチウムは甲状腺ホルモンの分泌を阻害するため、末梢での甲状腺ホルモン濃度を低下させます。
 7~10%は顕性甲状腺機能低下症をきたし(Jefferson,2000)、23%は潜在性甲状腺機能低下症となり、女性は3~9倍リスクが高い(Kleiner et al.,1999)との報告があります。当モニターへの甲状腺機能異常の報告は初めてです。
症例)40代女性
 約4年の炭酸リチウム(800mg分2/日)の服用期間を経て、健康診断で甲状腺機能低下症を指摘された。
補充療法でチラーヂンS®50μgを併用し、疲れやすさやだるさが改善。

*  *  *

 甲状腺機能異常は、リチウムが主に処方される精神科ではなく、健康診断や他科で発見されることが多いため、薬剤の影響と結び付けて考えられず、副作用と認識されない可能性があります。また、リチウム治療を中止する理由にはならず、甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム)を併用しながら続けることになります。
 服用期間にかかわらず発生するため、リチウム投与中にはTSHとFT4の継続的な監視が推奨されます。コレステロールが高くなる、むくみや体重増加、脱毛が起こったら、甲状腺機能低下症の可能性を考慮してみてください。
 まれではありますが、甲状腺機能亢進症の報告もあります。甲状腺ホルモンのバランスが崩れていないか、観察を強化しましょう。

(民医連新聞 第1717号 2020年7月6日)

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