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民医連新聞

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リレートーク 私と被爆75年(4) 希望を紡ぐ平和運動 京都・まいづる協立診療所事務 森優さん

 今年は被爆75年。反核・平和運動を行う全国の仲間にとりくみや思いを聞きました。核兵器のない世界をつくるために私たちにできることは?

 私は長崎出身の被爆3世です。中学生の時に起きた9.11テロの後、瞬く間に市民を標的にした無差別攻撃が始まるさまを目の当たりにし、ずっと聞いてきた被爆者の証言や戦争反対という願いが過去の話ではないと危機感を抱きました。これを契機に、平和運動に関心を持つようになりました。以後、「核兵器廃絶のための高校生1万人署名活動」、特定秘密保護法や安保法制制定に反対するデモ、京都民医連の平和塾などに参加してきました。
 昨年の原水禁世界大会に参加した際に出会った印象的な言葉があります。ひとつは、長年にわたり被爆証言を集めた被爆者のものです。「私たちは爆心地近くで消えていく声を聞くことができませんでした。どんなに多くの証言を集めてもいかなる場合も空白の部分が残っています」。この言葉を前に、二度と聞けない被爆者の声があるという厳然たる事実をあらためて認識しました。被爆者の悲痛な叫びに向き合うことはもちろん、怒りも悲しみも表現するすべなく殺された何万という人びとの無念にこたえて、反核運動にとりくみたいと思います。
 もうひとつは、核兵器禁止条約採択のために奔走したオーストリア政府代表の「困難な時代はやりがいのある時代」という言葉です。新型核兵器の開発や小型化がすすみ脅威が迫る一方、粘り強く声をあげる被爆者と、被爆者と連帯して世界中で創意工夫を続ける市民社会の後押しで「ノーモア・ヒバクシャ」という悲願が条約として実を結びました。条約に参加する日本政府の実現へ、政府に条約参加を求める自治体に、政治を変えるために私たち主権者ができることはまだあると背中を押される気持ちです。ヒバクシャ国際署名を集めること、学習会を開くこと、被爆者がたたかう裁判の傍聴に行くこと、韓国・朝鮮人被爆者の証言を聞くこと、平和のために行動する政治家や企業をサポートすることなどできることを続けて希望を紡いでいきたいです。

(民医連新聞 第1717号 2020年7月6日)