リレートーク 私と被爆75年(2) 草の根運動を大切に 岡山・林道倫精神科神経科病院精神保健福祉士 金関秋音さん
今年は被爆75年。反核・平和運動を行う全国の仲間にとりくみや思いを聞きました。核兵器のない世界をつくるために私たちにできることは?
「この世から被爆者がいなくなった後の世界が1番怖い」「どうか私を許してほしい」。この2つの言葉に私は背中を押されて、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に向けたNY行動に参加を決めました。最初は2019年原水爆禁止世界大会の長崎大会で聞いた被爆者の言葉、次はハワイ大学で出会った元米軍兵士の言葉です。みなさんの胸にはどう響くでしょうか。
当院には熱心に平和活動にとりくむ職員が多く在籍し、NY行動に向けてあたたかく応援してくれました。署名活動、カンパ活動、学習など、参加が決まってからの半年は目まぐるしく過ぎていきました。
特に力を入れたのが署名活動です。私たち若い世代は、戦争や核兵器について考える機会が少ないと感じていたからです。私自身も、つい最近まで無関心だったひとりでした。友人に連絡を取り、署名用紙とお願いの手紙を何通も送りました。とりくみを説明し、趣旨に賛同してもらい、気づけば315筆の署名を集めることができました。たった315筆、でも一生懸命説明し「協力するよ」と書いてもらった315筆の重みをあらためて感じています。ふり返ると、想像以上に周囲が平和や核兵器に関心があり、すぐに核兵器廃絶に動く方法はわからなくても、意思を表明したいという思いがあることに気づくきっかけにもなりました。
そんな中、NY行動中止の知らせが届き残念です。NPT再検討会議も延期になることで、核廃絶への機運を下げるわけにはいきません。岡山県代表団も次なる活動を思案しているところです。
これからも多くの先人たちが語る“草の根の運動”を大切に、核廃絶への思いを共有していきたいと考えています。思いが集まると“力”になります。「だれであっても戦争に行ってほしくない。核兵器の被害にあってほしくない」という揺らぐことのない意思こそが、核兵器のない世界をつくり上げると信じています。
(民医連新聞 第1714号 2020年5月4日)