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民医連新聞

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新型コロナウイルス感染症対策 密閉、密集、近距離を避ける 専門家会議が状況分析し提言公表

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は3月19日、現在までの情報をもとに「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表しました。重要な提言なので、県連理事、法人理事長、専務、病院長、看護部長、事務長、診療所長など幹部のみなさんの理解を深めましょう。概要を紹介します。

◆「基本戦略」3本柱の維持・強化

 社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするこれまでの方針を続け、(1)クラスター(集団感染)の早期発見・早期対応、(2)患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保、(3)市民の行動変容の基本戦略3本柱を維持・強化し、いかにして小規模な感染の連鎖にとどめ、それぞれの地域において適切な制御を行ったうえで収束をはかっていけるかが重要になってくる。

◆国内の感染状況と対策の効果

 北海道では一定程度新規感染者の増加を抑えられていると判断しているが、依然として流行は明確に収束に向かっておらず憂慮すべき状態が続いている。北海道以外の新規感染者数は都市部を中心に漸増している。持ちこたえているが、一部の地域で感染拡大がみられる。
 感染源がわからない感染者の増加地域が散発的に発生している。
 クラスター(患者集団)の感染源がわからない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねない。

◆気づいたときには制御できない

 オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にその兆候を察知できず、気づいたときには制御できなくなってしまうのが、この感染症対策の難しさ。オーバーシュートが起きると、欧州でも見られるように、その地域では医療提供体制が崩壊状態に陥り、この感染症のみならず、通常では救済できる生命を救済できなくなる事態に至りかねない。
 オーバーシュートが生じる可能性は、人が密集し、都市としての人の出入りが多い大都市圏のほうがより高い。

◆3つの条件が同時に重なる場を避ける

 今後は地域特性なども踏まえながら、(1)換気の悪い密閉空間、(2)多くの人が密集する、(3)近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われる、といった3つの条件が同時に重なる場を避けるなどの適切な対応をとることができれば、オーバーシュートを未然に防ぐこともあり得る。

◆医療従事者へ

 患者数の漸増やオーバーシュートが起こると、感染症指定医療機関だけでは対応が困難になる。多くの医療機関が新型コロナウイルス感染症の診療を行うことになる。その際、地域における医療機関ごとの役割分担(軽症者は在宅医療、重症者は高次医療機関、その他は診療所や一般医療機関で診療)を踏まえ、医療ニーズの低減努力(一般患者の外来受診間隔をあける、ファックス処方の利用、待機的入院・手術の延期など)をお願いする。また、各医療機関についてはそれぞれの診療継続計画にもとづいた医療従事者の適切な配置などを検討願いたい。

(民医連新聞 第1713号 2020年4月6日)

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