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民医連新聞

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相談室日誌 連載478 サービス事業者が撤退?! 自宅に退院できない(広島)

 Aさん(60代前半、女性)は、社会人1年目で20代前半の時に交通事故にあい、頸椎損傷となりました。重度の四肢麻痺がありますが、障がい福祉サービスを利用し、長年ひとり暮らしをしています。先日、当院に呼吸不全で入院しました。幸い数日の治療で病態は安定し、退院可能となりました。
 ところが、Aさんの相談支援専門員は、「以前からヘルパー事業者が撤退を申し出ている。自宅には退院できない」と言います。ヘルパーたちの疲へいが理由です。
 例えばオムツを使用せず、日中は移動用リフトでトイレ移乗、夜間は尿器を使用します。たびたび尿器がずれてベッドを汚してしまい、掃除に時間がかかります。Aさんは皮膚が弱いので、オムツ使用には不安があります。食事は配食サービスではなく、その日の体調に合わせてヘルパーがつくることを希望しています。ヘルパーたちは、そんなAさんを長年支援してきましたが、福祉分野の人手不足で、継続が困難となっていました。
 相談支援専門員は他事業所を探しましたが、容易にみつかりません。在宅生活を継続するためにはどうすればよいのか、Aさんや相談支援専門員と話し合う必要がありました。
 相談支援専門員は懸命にサービスの調整を行っています。一方、Aさんに対し「ケアを簡素化することを受け入れてくれない困った人」と受け止めているような言動があり、Aさんは相談支援専門員を信頼できなくなっていました。
 私たちSWは、Aさんと、障がい者をめぐる社会保障制度のあり方を語り合いながら、現実的に在宅生活を継続するための方法を相談しました。Aさんは、葛藤しながらも日々の過ごし方を変更する決断をしました。
 自己決定支援、クライエント理解、信頼関係の構築、社会保障制度のあり方、相談支援専門員へのスーパーバイズの必要性、何年にもわたり長期的に支援することの多難さ…などを感じたケースでした。

(民医連新聞 第1713号 2020年4月6日)