寒さ、飢え、収入減… 年末年始の困窮をささえる支援活動、各地で
日雇いの仕事などがなくなり、寒さと飢えが厳しくなる年末年始。各地で、路上生活の人や生活に困窮する人たちの支援活動が行われました。一部を紹介します。
医学生も参加 生きにくい社会実態
奈良民医連
【奈良発】昨年12月30日、愛知・名古屋の越冬支援ボランティアに医学生と職員で参加しました。これは、NPO法人のささしまサポートセンターが毎年年末年始に行っている、路上生活者や日雇い労働者の生活支援です。
医師、医学生、介護職、元教師などがボランティアとして参加していました。炊き出しの案内や衛生用品の配布、生活状況の聞き取りなどをしました。学生からは「路上生活の人に話しかけるのは初めてで緊張した」「職を失って今の生活になった経過を知り、生きにくい社会だと思った」など感想が出ました。
今回のとりくみを広く知らせるために、参加した学生でまとめを作成することになりました。新入生向けに紹介する機会もつくっていきたいと思います。(村尾優太、事務)
15人が受診 10人が「住まいなし」
宮城民医連
【宮城=神馬悟通信員発】路上生活者などの健康を守る健康診断・食事会を1月4日、仙台市福祉プラザで開催し、医師4人を含め計33人の職員がボランティアで参加しました。受付、問診、血圧測定、尿検査、歯科相談、診察を実施。15人が健診を受け、うち4人が要受診となりました(以下詳細)。(1)76歳、男性。下肢浮腫↓低たん白、腎不全、心不全、肝障害など、歯が悪い。(2)65歳、男性。尿糖4、糖尿病の治療が必要。何らかの気道感染あり。(3)48歳、男性。尿糖2、潜血3、左下肢神経痛、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など。(4)51歳、男性。血圧150/108。高血圧の精査が必要。
食事会には15人が参加。この日のメニューは、天津飯、春雨スープ、サラダ、デザート。「普段食べる機会がないメニューなのでおかわりしましたが、2杯でお腹がいっぱい。春雨スープも温かく、おいしくいただきました」との感想も出ました。食事のあとは、カップラーメン、缶詰、ミカン、コーヒーのほか、差し入れのあったアメなどを手渡しました。多くの職員から衣類などの提供があり、仙台夜まわりグループを通して当事者に届けることにしました。
問診では、住まいと収入について聞きました。15人のうち10人が屋外で生活。眠る場所は仙台駅東口、公園、(旧)ダイエー近くの地下など。収入(月額)では、収入なし6人、1万円以下2人、1万5000円以下1人、2万円1人、11万円1人、生保・少額年金・アルバイト・無回答がそれぞれ1人でした。「収入なし」のうち何人かは、1回100~200円の清掃業務に参加している、との回答でした。
21人が相談に 歯科の無低診を紹介
兵庫民医連
【兵庫発】昨年12月28日、神戸三宮・東遊園地で「神戸の冬を支える会」主催の路上生活者の人たちの越冬支援に今年も参加しました。阪神・淡路大震災をきっかけに始まったこの活動に、当県連は2003年から参加。炊き出しと医療相談テントを担当し、今年は初めて、歯科相談と健康チェック&健康吹き矢を行いました。
会場には、80人を超える人たちが集まりました。医療相談には、研修医7人、医師1人、看護師2人、SW2人、歯科衛生士1人が参加。21人から病気や生活の相談を受けました(うち歯科相談は4人)。60代の男性はめまいと高血圧で相談。長年路上生活をしていたが現在は生活保護を受けているとのこと。医療機関とうまくいかず中断しており、住居の近くの神戸協同病院を紹介しました。歯科相談では、歯磨きをすると出血する、歯科はお金がかかるので行きづらい、などの相談があり、無料低額診療事業を行っている歯科事業所の紹介・周知が必要だとわかりました。
炊き出しが始まるとテント前に行列ができ、海鮮がゆ200食を提供しました。(中知枝、事務)
(民医連新聞 第1709号 2020年2月3日)